栗山英樹監督から手紙で告げられた開幕投手に斎藤佑樹は涙 「僕の不安な気持ちと監督の覚悟が込められていて...」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 傍から見ていたら同じタイプには見えないかもしれませんが、僕にとっては似ているんです。僕が想像しているよりも遙かに、僕の投球のことを考えてくれているというところが似ている(笑)。「そんなこと、考えたこともなかった」ということをサラッと言ってくれるんです。「佑ちゃんはこういうピッチャーなんだから、こうすればいい」と言ってもらえて、『ああ、僕にはそんな一面があったんだ』と気づかせてもらいました。それはたぶん、キャッチャーならではの視点があるからこそ気づくことで、そういうことの全部を受け止めてくれる包容力が僕に安心感を与えていたんだと思います。

【栗山監督の第一印象】

 新しい監督が栗山さんだと聞いた時、じつは『やっぱりそうだったのか』と思った記憶があります。というのもその1年前、僕がプロに入って最初の名護キャンプの時、栗山さんがテレビのキャスターとして取材にいらしていて、来賓室で練習を見ていたんです。その時にお目にかかって、「佑樹、どう? 調子は」と聞かれたんですけど、その感じが取材目線じゃなかったんですよ。貴賓室で「どう?」って、もう球団関係者じゃないですか(笑)。あれっ、もしかしていずれ監督やるのかなって、そんな雰囲気を感じたんです。僕の勝手な想像ですけど、あの時期、すでにその可能性はあったのかもしれませんね。

 栗山監督の最初の印象は、想いの強い監督だな、ということでした。戦術とか戦略よりも、想いが大事。想いによって人は動くし、信じることによって選手が期待に応える。そこは10年間、最初から最後まで変わりませんでした。いつも監督のほうから右手を差し出して、「最近、調子はどうだ」と聞いてくれる。毎日、最初に会うたびに握手をするんです。で、「今日はどう?」と、何かを答えさせる聞き方で入るんです。二軍から一軍へ上がった時も二軍に落ちる時も、監督は必ず握手をしてくれました。

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