DeNA松尾汐恩が明かす22歳差・藤田一也との「奇跡の再会」背中を押してくれた言葉、縁と絆 (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi

 言葉の一つひとつに感心した様子を見せる松尾。そして、決意したように言うのだ。

「長い間、野球に関わっている一也さんを見て思うのは、自分も同じように長くプレーできる選手になりたいということです」

【藤田一也が語る松尾汐恩の可能性】

 一方で藤田は、親子ほど歳が離れたかわいい後輩である松尾について次のように語った。

「汐恩は小さい時から知っているし、僕としては一緒にできてうれしいですよ。プロになってからも気さくにどんどん話しかけてくるし、なんかこう"話を聞いて何か取り入れてやる"っていう部分が目に見える選手なんで、こっちもいろんなことを伝えたいなって思うし、本当に楽しみで仕方がないんですよ」

 藤田は笑みを浮かべつづける。

「バッティングに関しては、高卒1年目とは思えないセンスですし度胸もある。えっ、バットですか? そうそう、僕のモデルなんですよ。まあ、今の時期はいろんなバットを試すことも必要ですし、僕のバットはシンプルなんですけど、そこが汐恩にしっくりときているみたいですね。けど、僕のバットは遠くに飛ばすというよりも、外野の前に落とすようなイメージでつくっていて、それでも汐恩は簡単にスタンドに放り込んだりしますからね」

 感嘆した様子で藤田はそう語った。そして次の瞬間、口元を引き締め言うのだ。

「ただプロのキャッチャーとしては、見ていてまだまだ習得しなくてはいけない部分もあるので、ファームで経験を積んでいくことが必要だと思います。だけど才能はあるし、考えることも、努力することもできる選手なので、近い将来、一軍の正捕手、そして日本代表のキャッチャーになってほしいなって、僕は思っています」

 ドラ1ルーキーが尊敬してやまない野球のすべてを知る大先輩は、期待を込めた表情を見せると頷いた。

 当然、松尾もそれに応えるつもりだ。今はバッティングが注目されているが、自分自身の核心にあるのは、捕手としてどう生きていくかだ。

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