JFKを擁した阪神投手陣がロッテに「これほど点を取られるとは...」阪神・関本賢太郎が日本シリーズで感じていたチームの「焦り」 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――先制点の重み以外のCSと日本シリーズの違いは?

関本 CSは同じリーグのチーム同士での対戦で、シーズン中に何回も対戦しているピッチャーと対峙しますし、そういう意味ではある程度手の内を知った上での戦いになりますよね。情報戦というよりも、生身の経験値での勝負になります。

 一方の日本シリーズは情報戦の側面が多いです。ただ、情報で頭でっかちになりすぎると、勢いを失う可能性もあると感じます。スコアラーの方が集めてくれる情報を頭に入れて試合に臨むことになりますが、情報通りにならなかった時にちょっと面食らってしまう部分もあるので、あまり頭に入れすぎずに戦う意識も必要かなと。

――この試合でも二桁得点(3試合連続二桁得点はシリーズ初)を奪われてしまいましたが、ロッテ打線の印象は?

関本 毎試合出るメンバーや打順が違うのですが、常に打線につながりを感じましたし、若手と中堅、ベテラン、外国人助っ人のバランスがすごくいいチームだなと。確か、西岡剛や今江敏晃が出てきたころですよね。

――西岡さんが高卒でプロ入りして3年目(21歳)、今江さんも高卒でプロ入りして4年目(22歳)でした。

関本 この2人の勢いがとにかくすごかったですし、中堅にも実力のある福浦和也さんやサブローさんがいて、助っ人にはベニー(・アグバヤニ)と(マット・)フランコ、李承燁(イ・スンヨプ)もいた。この日本シリーズで助っ人3人ともホームランを打ったりしていて、全員が活躍していましたからね。

 第3戦から出てきたベテランの堀幸一さんも、ヒットや四球でよく出塁してつないでいましたし、バランスがよかった印象です。李承燁が下位を打っていたりして、どこからでも点を取る打線だなと。ただ、阪神のピッチャー陣がこれだけ点を取られることは想像していませんでした。

(ロッテ・清水氏の証言5:日本一目前でも気を抜かなかったワケと2005年のロッテの強さの正体)

【プロフィール】
関本賢太郎(せきもと・けんたろう)

1978年8月26日生まれ、奈良県出身。天理高校3年時に夏の甲子園大会に出場。1996年のドラフト2位で阪神タイガースに指名され、4年目の2000年に1軍初出場。2004年には2番打者として定着し、打率.316の高打率を記録した。2007年には804連続守備機会無失策のセ・リーグ新記録を樹立。2010年以降は勝負強さを買われ代打の神様として勝負所で起用される。2015年限りで現役を引退後、解説者などで活躍している。通算1272試合に出場、807安打、48本塁打、312打点。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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