助っ人投手ベスト5を野村弘樹が選出「あんなピッチングされたら打てない」と驚愕 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

【日本で大化けした投手】

── 先程、バウアー投手が挙がりましたが、先発で印象に残っている投手は誰ですか?

野村 巨人でプレーしたマイルズ・マイコラスです。2017年に188イニングを投げて187個の三振をとり、最多奪三振のタイトルを獲得しました。驚くのはその年の与四球がわずか23個。コントロールのよさは歴代の外国人投手のなかでもトップクラスです。時折、マウンドで苛立った姿を見せることはありましたが、彼も日本に来て成長を遂げた投手のひとりです。2014年にレンジャーズで2勝だった投手が、日本での3年間で31勝をマーク。そして18年に30歳でメジャー(カージナルス)に復帰し、18勝で最多勝に輝きました。

── 日本で活躍した投手が、再びメジャーでブレイクするというのは簡単なことではありません。

野村 メジャーに復帰して活躍した投手は意外と多くありません。思いつくところでは、2008年、09年に最多奪三振のタイトルを獲得したコルビー・ルイス(広島)ですか。11年にレンジャーズに復帰後、じつに4度の2ケタ勝利をマークしました。マイコラスにしても、ルイスにしても、日本の経験がメジャーで生きたというのは間違いないと思います。

── 野村さんと同じ左で印象に残っている投手はいますか。

野村 左投手は、広島にいたクリス・ジョンソンです。メジャーでは1勝もできませんでしたが、来日1年目の2015年にいきなり最優秀防御率のタイトルを獲得しました。193センチの長身ながら、剛球投手というより、いわゆるグラウンドボールピッチャーです。カットボールとツーシームという小さく変化するボールを駆使し、さらにチェンジアップでタイミングを外して内野ゴロで打ちとる。投球術に長けた投手でした。16年に15勝、18年も11勝を挙げ、広島のリーグ3連覇にも貢献しました。とくに16年は投手の最高栄誉である「沢村賞」に輝きました。長いプロ野球の歴史でも、外国人投手の受賞は、64年のジーン・バッキー(阪神)以来、52年ぶり史上2人目の快挙でした。

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