斎藤佑樹が悔やむプロ1年目のつまらない葛藤「自分はすべてにおいて中途半端だった」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 まずはわき腹のケガを治す、プロの一軍を体感した自分を客観的に見つめ直して、さらに成長するために何が足りてないのかを見極める......そう考えた時、自分はすべてにおいて中途半端だったことに気づきました。力感、スピード、フォームはこうでなくちゃいけないという固定観念を捨てたほうがいいと思ったんです。フォームがよくないから勝てないわけでもないし、フォームがメチャクチャでも勝てばオッケーになる。だから、いろんな声が耳に入ってきましたけど、そういう声に対して、そうかもしれないとは思わないようにしようと意識しました。それが、力みなく投げられるようになった大きな理由だと思います。

【1年目でオールスター出場】

 ケガが治って一軍に復帰したのは6月末(29日)のことでした。札幌ドームのマリーンズ戦で久しぶり(52日ぶり)に先発しましたが、その日、ものすごく気持ちのいいピッチングができたんです。ボールがアウトローに集まって、出し入れもうまくいっていました。きわどく外れたボールを、次はわずかに中に入れて審判に右手を上げてもらうこともできていましたし、そもそも投げる瞬間、真っすぐを押し込めている感じがありました。

 それでも、この試合はプロ初の黒星がついてしまいます。5回、ワンアウト満塁から岡田(幸文)さんに真ん中高めのカットボールを左中間へ弾き返されて、これが走者一掃のスリーベースヒットになってしまいました。

 開幕から内容に満足できないピッチングで勝ちがついたかと思えば、手応えのあるピッチングができたのに負けがつく......次の試合(7月11日、イーグルス戦)では5回を投げ切れずに2敗目。2勝2敗となって、僕は前半戦、最後の先発マウンド(7月17日、札幌ドームのライオンズ戦)に向かいます。

 何とか悪い流れを断ちきりたい、もう一度、いい流れを取り戻したいという強い気持ちで投げた試合でしたが、毎回のようにランナーを背負う苦しいピッチングになりました。それでも5回をゼロに抑えて、6回からは谷元(圭介)さん、榊原(諒)さん、増井(浩俊)さん、(武田)久さんが好投、1−0で勝つことができました。

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