斎藤佑樹「5回4失点のピッチングでも勝つチャンスがあるんだ」プロ初先発で得た自信と1年目に味わった地獄 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 当時、テンポがいいから守りやすいとか、攻撃に集中できるとか、チームメイトの先輩方にそんなふうに言ってもらっていたので、プロ初勝利のあの勝ち方は自信になりました。じつはプロで1勝目を挙げる時は、打たれながら、抑えながら、という展開になるかもしれないとイメージしていたので、そのとおりになりましたね。

【まさかのアクシデント】

 その後、2試合(4月24日のイーグルス戦で2勝目/5月1日のライオンズ戦は引き分け)に投げたあと、ホークス戦に先発した時のことです(5月8日、札幌)。試合前、ブルペンで投げていて、最後、ラストの1球前、力を入れて投げた時にわき腹がピキッといってしまったんです。「あれっ、これは初めての感覚かも......けっこう痛い」と思いました。で、「ラスト、行きます」と言って、最後、軽くピュッと投げたんですけど、やっぱり痛い。さすっておけば治るかな、なんて思ったんですが(苦笑)、ロッカーに戻って着替えても痛みが引きません。

 ただ当時の僕には、それを誰かに話すという発想はありませんでした。「ちょっと痛いかも」と思いながらマウンドへ上がって、初球を投げたらかなり痛かった(ホークスの1番、川﨑宗則に投じた初球のストレートは137キロ、セカンドゴロ)。もちろんスピードが出ていないことはわかりましたが、ここで代わったら次のピッチャーは何の準備もできていません。だから1回だけは何とか頑張って投げきろうと思って、そのまま投げ続けました。

 ベンチに戻った時、吉井(理人/投手コーチ)さんが異変を感じとってくれて、1回で交代ということになりました。たぶん、球数は10球だったと思います。その日は病院へは行かず、アイシングをしてもらいました(翌日、札幌市内の病院でMRI検査を受け、『左内腹斜筋の筋挫傷で全治2、3週間』と診断された)。

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