千賀滉大の「お化けフォーク」はMLBトップクラスの空振り率 「第3の球種」が今後の活躍のカギ (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 オールスター前までの千賀は、全投球のうちの22.8%にあたる350球のフォークを投げ、被打率.126(87打数11安打60三振)、長打率.149。フォークを投げて許した長打はわずか2本だけ。空振り率59.6%は、メジャーの全先発投手が投げるすべての球種の中でもトップの数字である。

【名前/球種/空振り率(Whiff %)】

千賀滉大(メッツ)/フォーク/59.6

スペンサー・ストライダー(ブレーブス)/スライダー/56.7

シェーン・マクラナハン(レイズ)/チェンジアップ/52.5

ヘスス・ルサルド(マーリンズ)/スライダー/51.7

トレバー・リチャーズ(ブルージェイズ)/チェンジアップ/46.5

(100打席以上で使用された球種)

「(これほど空振りが取れるとは)まったく予想していなかったです。前半戦だけなんで、それが後半戦でどうなるのかも自分次第。その球があればこそ、いい内容のピッチングも多くなると思う。そこは、データとの追いかけっこかなと思います」

 オールスター前日の会見時、千賀は控えめながらも伝家の宝刀の効果を認めていた。最速100マイル(約160キロ)の速球と、落差の大きなフォークのコンビーションは世界でも通用する。特にフォークは、球宴の舞台でも「いろいろな方から褒めてもらえた」というほど好評だったことを考えると、今後はさらに注目される球種になりそうだ。

 話題になればなるほど、スカウティングが進むのもこの業界の常。フォークに関して対策がなされていくだろうが、その際のアジャストメントが成功のカギになることは千賀も理解している。ただ、フォークが馴染みの球種になり、各球団にデータが出揃うことは、「投げるほうにとって、必ずしも悪いばかりではない」という。

「投げていく中で、フォークや他の球種が各チームに浸透すればするほど、こっちも対策が立てやすくなったりする。そこの追いかけっこになると思うんですけど、これから楽しむ部分は増えるなと思います」

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