理想の1番~9番バッターとは? 高木豊が語る「打順」論、歴代プロ野球の「最強打線」についても語った (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――チームの顔、4番はいかがですか?

高木 勝負強さは必須で、長打力がその次ですかね。また阪神の選手になりますけど、今シーズンの大山悠輔は4番として"大合格"です。勝負強さが際立っていますし、大事な場面で四球もとれている。相手ピッチャーは四球を与えて苦しくなって、次の打者が打ちやすい状況になっています。大山は今年、4番としてひと皮もふた皮もむけましたね。

――4番が活躍するには、続く5番の役割も大事になりますね。

高木 5番は、4番で勝負せざるを得ないだけの威圧感がないとダメです。4番はやはり"チームの顔"ですが、勝負をしてもらえないと価値がなくなってしまう。その4番としての価値を高めるのは、5番の役割。5番打者の調子がいいと4番の打点が増える、といった相乗効果も期待できます。

 現役選手ではDeNAの宮﨑敏郎が「最強」ですよ。おかげで4番の牧秀悟が打点を稼いでいますよね。あの4、5番はかなり理想的だと思います。

――6番は先ほど(前編)お聞きしましたが、「走攻守」が三拍子揃っていることが基本で、勝負強さとある程度の長打力も期待できたらよりいい、ということでしたね。続く7番はどうですか?

高木 7番が出塁すると、大量点につながる期待が高まります。8番も四球などで続いてくれたら、セ・リーグでも9番のピッチャーが送りバントをすれば、いい形で1番にまわすことができる。

 現在は各チームともさまざまな選手を起用しているので、具体的な選手は挙げにくいのですが、7番は1番に近い役割を期待したい。出塁率が高いバッターがいいですね。DHがあるパ・リーグでも同じです。

――8番はいかがですか?

高木 セ・リーグの場合は意外性のある打者がいいです。打率は2割くらいでいいので、予想外のところでホームランを打てるような。理想は、年間で20本塁打くらいでしょうか。例えば、元巨人のキャッチャーの山倉和博さんは「意外性のバッター」とも言われていましたが、あんな感じ。前の7番が塁に出ると、勝負を避けられて8番の四球が増える効果もあるような気がします。

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