OB星野伸之から見た、吉田正尚が抜けたオリックス打線の新たな強み 中嶋聡監督は「もっとも苦労している年」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――昨シーズン、オリックスのバッテリーは変化球を挟まずに真っ直ぐでどんどん攻めるシーンも見られました。うまくハマれば球数が減らせる効果もありそうですね。

星野 中嶋監督はフォアボールを出すのを一番嫌いますしね。若いピッチャーを起用した時には、おそらく「打たれてもいいよ」と思っているはずです。でも、フォアボールを出すと、次の日にすぐに出場登録を抹消することもある(笑)。

 それは怒っているというよりも、本人のため、チームのためにということでしょうけどね。「もう1回しっかりストライクを投げてこい」といった、考えさせる時間を与えることも含めた判断だと思うので。

――四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスから育成で入った、ルーキーの外野手・茶野篤政選手はどう見ていますか? 安打数はチームトップの56本で、走攻守で存在感を見せています。

星野 不振の期間もありましたけど、最近また当たりが戻ってきました。疲れが溜まって動きが鈍くなってきたらスタメンを外すかもしれませんが、ガッツもあるし、足も速いし、思いきりのよさもある選手です。同じ外野手の福田周平にとってはかなり刺激になっているでしょう。

 福田はレギュラーを獲ったかなと思ったら今シーズンは調子が悪く、野口智哉がそこに入ったり。野口は紅林弘太郎が二軍調整中の時にショートを守って、すごくいい肩を見せました。でも、確実性では紅林なのかなと。彼が一軍に昇格してからチームが落ち着いた感があります。現在首位打者(打率.333)の頓宮裕真もクリーンナップでいい働きを見せていて、中川圭太や(マーウィン・)ゴンザレスは複数ポジションを守れますし、みんなでカバーし合っている。

 昨シーズンまでは、相手ピッチャーに「ランナーがいる状態で吉田正尚に回してはいけない」というプレッシャーがかかっているところで、他のバッターが打たせてもらっていたところもあったのですが、今年は違います。「吉田が抜けたらダメ」と言われたくない気持ちが全員にあるんでしょう。逆に今シーズンは「誰をマークすればいいんだ?」という状況が強みになっています。

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