原辰徳監督は球団初の不名誉な記録を回避できるか 伊原春樹が語るジャイアンツ低迷の理由と打開策 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

── 打開策はありますか。

伊原 DeNAもかつては似たような打線でした。しかし今季は"安打製造機"で出塁率の高い佐野恵太を1番に上げ、中日から移籍の京田陽太を2番に据えた。そして走れる桑原将志を5番に置き、好調な関根大気を6番に入れたことで打線が活発化して、躍動感が出てきました。

 巨人は楽天から移籍してきたオコエ瑠偉が1番打者として奮闘していましたが、その間の盗塁数は0。巨人のレギュラークラスで走れるのは、昨年16盗塁の吉川尚輝くらい。一昨年に15盗塁した松原聖弥あたりを1、2番に入れたら、もっと攻撃にバリエーションがつけられると思うのですが。

── これまで巨人は、同一監督で2年連続Bクラスになった例はありません。伊原さんが2007年に巨人のヘッドコーチに就任した際、どのようにしてチームを立て直したのでしょうか。

伊原 原監督とともに「丈夫な選手を起用する」ということで、厳しさを打ち出しました。故障に強いということですね。07年は、投手ではエース・内海哲也が14勝し、ほかにも高橋尚成が5年ぶりの2ケタ勝利(14勝)、木佐貫洋も4年ぶり2ケタ勝利(12勝)を挙げました。そして抑えの上原浩治が32セーブをマーク。シーズンを通して、投手陣が機能してくれたことが大きかったですね。

── 今後、どのようなことがポイントになりますか。

伊原 巨人は他球団と比べて先発陣が負けています。巨人浮上のカギは「先発陣の踏ん張り」に尽きます。150キロのスピードボールを投げる若い投手は何人もいます。そこからひとり、ふたりと一軍に定着してくれれば......。まだ残り100試合ほどあります。若手の先発投手が出てきて、投手陣全体が踏ん張れるようになれば、まだまだチャンスはあります。

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