原辰徳監督は球団初の不名誉な記録を回避できるか 伊原春樹が語るジャイアンツ低迷の理由と打開策 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

── 抑えの大勢につなぐ「勝利の方程式」も不安定です。

伊原 5月5日の中日戦では、8回を託したドラフト3位ルーキーの田中千晴が石川昂弥に2ランを浴びました。同7日の中日戦でも、8回に直江大輔が2者連続四球で一死もとれずに降板。ここまでの戦いを振り返ると、8回が"鬼門"になっています。シーズンが始まった時、「今年の7、8、9回はこの3人でいく」という方針が決まっていなかったのではないかと思ってしまいます。

 昨年までリリーバーとして実績のあったルビー・デラロサとチアゴ・ビエイラをふたりとも退団させてしまいました。ふたりに代わるセットアッパー候補として獲得したヨアン・ロペスは二軍調整中。当然、ケガや不調は考えられるわけで、それに対してリスクの認識が甘かったと言わざるを得ません。

【つながらない打線】

── 野手陣はいかがですか。

伊原 ベテランの域にさしかかった坂本勇人や丸佳浩を休養させながら出場させていますが、彼らはスタメンを外すような選手ではありません。2、3試合ヒットが出なくても起用すべきだと思います。

 もし若手を抜擢するのなら、そのまま我慢して起用し続けたほうがいい。せっかく若手が活躍しても、巨人は毎年優勝の十字架を背負うので、どうしても実績のある選手、外国人選手を使ってしまう。このあたりは起用法に一貫性を持たせるべきだと思います。

── 今シーズンの巨人打線ですが、破壊力という点ではどうですか。

伊原 チーム本塁打数(40本)はリーグ1位ですが、ラッキーパンチ的なものが多く、タイムリーヒットが少ない印象があります。打線が"線"になっていません。2年連続Bクラスに沈んだ05年(堀内恒夫監督/5位)、06年(原辰徳監督/4位)の時とそっくりです。05年は、本塁打数(186本)はリーグ1位ながら、チーム打率.260、防御率4.80はどちらもリーグワーストでした。

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