審判歴38年の名アンパイアが選出したポジション別「名手ベスト5」 守備の達人から意外なプレーヤーの名前も (4ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro,Sankei Visual

── 遊撃手のなかで5人を挙げるとすると誰になりますか。

橘髙 ショートは名手が多かったですね。そのなかで5人を選ぶとなると、川相昌弘選手(元巨人)、池山隆寛選手(元ヤクルト)、今宮健太選手(ソフトバンク)、金子誠選手(元日本ハム)、そして源田壮亮選手(西武)です。

 昔はダブルプレーを避けるためスライディングは激しかったのですが、川相選手や池山選手は足のつま先でのベースタッチは素早く、巧みでしたね。「これぞプロの技だ」と感心しました。

 今宮選手はグラブさばきが華麗で、捕球も安定しています。また三遊間の深い位置からの大遠投も見事ですね。

 金子選手は、派手さはないのですが、スローイングの強さと正確さには目を奪われました。

 今回のWBCでも活躍した源田選手は、スローイングの安定感はもちろん、走者へのタッチプレーの速さは秀逸でした。

【プロ野球史に残る名外野手たち】

── 最後に外野手ですが、守備範囲、肩の強さがポイントになると思います。

橘髙 飯田哲也選手(元ヤクルトほか)は、捕手出身の経験を生かした守備が魅力で、捕ってからの早さ、コントロールのよさがずば抜けていました。また足も速かったので、守備範囲も広かったですね。

 高橋由伸選手(元巨人)はフェンスを恐れない攻撃的な守備と強肩が印象的で、新庄剛志選手(元日本ハムほか)は守備範囲の広さと肩の強さは圧巻でした。新庄選手に関して言えば、コントロールはそれほどいいわけではなかったのですが、弾道の低い送球はプロのなかでもナンバーワンだったと思います。セ・パ両リーグで10度のゴールデングラブ賞に輝いただけのことはあります。

 パ・リーグでは、イチロー選手(元オリックスほか)、田口壮選手(元オリックスほか)の守備範囲の広さ、肩の強さは絶品でした。ファウルになりそうな打球、地面に落ちそうなフライでも難なく捕球していました。グリーンスタジアム神戸の外野を縦横無尽に気持ちよさそうに走り回っていた姿が、今でも記憶に残っています。

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