山﨑武司が分析するセ・リーグで芽を出し始めた強打者たち 巨人でオコエが元気な理由、阪神と中日の「右の大砲」の現状も語った (3ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by Kyodo News

【石川昂弥(21歳/中日)】

 今はチーム事情で4番を任されているけど、石川については想定内の活躍です。今のドラゴンズの打者陣ならば彼が4番を打つのは当然のことだし、僕が監督でも間違いなくそう起用します。ケガさえクリアしていれば当たり前ですよ。

 これまで、(パ・リーグ編も含めて)5人の名前を挙げてきましたけど、ポテンシャルで言うと石川は頭ふたつくらいリードしている。今の成績がそこまで抜けているわけではないですが、打席での内容や雰囲気はすでに抜けてきていますね。

 去年までとの一番の違いは、ボールを捉えるポイントが前になったこと。差し込まれ気味だったのが、少しずつなくなってきた。彼のスイングは力感がなくて柔らかさがあるのに、当たるとホームランになっちゃう。だから「10年にひとりの素材かな」と感じてしまうんです。

 若いわりに変化球の対応がうまくて、アウトコースも捌ける。その分、インコースは詰まる傾向があるので、それをどうケアしていくか。それができれば、もっともっと打てると思います。まだ150kmオーバーの真っ直ぐには振り遅れている印象もありますが、それも経験と慣れ。微調整をしていって、ポイントをほんの少し前にする感覚を覚えると弾き返せるようになるでしょう。

 石川に期待したいのは、1年間を通してサードで守りきることです。1年間レギュラーとしてサードで守れれば、結果的に.270、20本塁打くらいの数字がついてくるはず。現段階で、そのレベルにある選手。一番の課題は故障や体力といった部分で、技術的なところではさほど気になるところがない。今年、サードでシーズンを完走できたら、近い将来に間違いなく30本は打つ選手になると思います。

 昨年、清宮幸太郎は18本塁打を打っているのに対し、石川は5本。まだ数字で語れる段階ではないですが、村上宗隆級の素材だと確信しています。

【プロフィール】

山﨑武司(やまさき・たけし)

1968年11月7日、愛知県生まれ。86年ドラフトで中日から2位指名を受けて入団。96年、39本塁打を放ち初の本塁打王を獲得。02年オフ、平井正史とのトレードでオリックスに移籍。04年に戦力外通告を受けるも現役続行を決意し、新規参入の楽天に移籍。07年には43本塁打、108打点で二冠王に輝く。11年に楽天を戦力外となるも、中日と契約。13年に現役引退後は、解説者など活躍の場を広げている。

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