山﨑武司が分析するセ・リーグで芽を出し始めた強打者たち 巨人でオコエが元気な理由、阪神と中日の「右の大砲」の現状も語った (2ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by Kyodo News

【井上広大(21歳/阪神)】

 彼は本当に夢がある選手だと思う。去年の1軍でのバッテイングを見た時には、相手投手に翻弄されて、まともに振らせてもらえなかったような内容だった。それが、今年はずいぶん落ち着きも出てきたし、成長を感じます。

 前提として、阪神タイガーズという球団でやることは、みなさんが思っている以上にすごいプレッシャーがあると思うんですよ。そのなかでやっと片鱗を見せてきたな、という気がしていますね。

 体も大きいし、芯に当たれば打球がどこまでも飛んでいくようなバッター。ボールが高く上がって綺麗な放物線を描く、今は少なくなったタイプの"右の大砲"ですね。広角に本塁打を打てることが大きな魅力。今は悩みながら模索して、打席でいろいろやっているのも伝わってくる。だけど、井上にはスケールの大きなバッターになってほしいから、三振や凡退で"小さく"なるようなことはやめてほしいですね。

 ひとつ矯正してほしいのは、構え。膝の曲がり、しゃがみこむ幅が大きすぎます。体が大きいから、投手に威圧感を与えるような構えができるはずなのに、小さく見せてしまっている。かがみ気味に構えているから、もっと背中と胸を張ってドカッと構えてほしい。そういう雰囲気も作っていくことも大事ですから。

 本当に楽しみな選手ではあるけど、1軍でレギュラーを張るにはもう少し時間がかかるかな、という気もします。仮にタイガーズが「打てなくても井上を使う」というのであれば、今年中には片鱗は見せてくれるでしょうけど......チームの優勝ということを考えると、1軍で安定して力を出すレベルには達してないかなと。ただ、それを差し引いてもすごく楽しみな選手だし、今後も成長を見守っていきたいです。

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