松井稼頭央は踏襲できるか 西武の新監督に「脈々と受け継がれるジンクス」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

【1点にこだわり2位に大差の圧勝】

 森祇晶監督時代、三塁コーチャーとして「1点をもぎとる野球」に徹した伊原春樹は2002年に西武の監督に就任。

 松井稼頭央を1番に固定し、4番はアレックス・カブレラ、さらに捕手だった和田一浩をレフトにコンバートして5番で起用。投手陣は、森慎二が最優秀中継ぎ、豊田清が最多セーブのタイトルを獲得するなど、救援陣が奮闘し「1点を防ぐ野球」を実践。

 現有戦力を適材適所に配置することで、前年3位だったチームを躍進させ、2位に16.5ゲーム差をつける圧勝でペナントを制した。

 ちなみに、2度目の監督就任となった2014年は5位と振るわず、1年で解任となった。

【現役引退から即監督で日本一】

 伊東勤は2003年に現役を引退すると、翌年から西武の指揮を執った。ユニフォームを脱いで即監督に就任したのは、伊東を含め8人いる。

1955年 国鉄(現ヤクルト)/藤田宗一/5位
1970年 西鉄(現西武)/稲尾和久/6位
1975年 巨人/長嶋茂雄 6位
1978年 南海(現ソフトバンク)/広瀬叔功/6位
1987年 ロッテ/有藤通世/5位
2004年 西武/伊東勤/1位(2位)
2016年 巨人/高橋由伸/2位2018年 ロッテ/井口資仁/5位

 2004年、伊東率いる西武はシーズン2位ながらプレーオフで日本ハム、ダイエー(現ソフトバンク)を下し、日本シリーズでも落合博満監督の中日を破り、12年ぶりの日本一を果たした。

 この年の西武は、伊東の引退をはじめ、松井稼頭央のメジャー移籍、アレックス・カブレラの死球による長期離脱など戦力的に厳しいと見られていたが、細川亨が正捕手に成長し、高卒4年目の中島裕之(=宏之/現巨人)がショートのレギュラーを獲得、ホセ・フェルナンデスがカブレラの穴を埋めた。

 また、エース・松坂大輔は10勝をマーク、4番・和田一浩が打率.320、30本塁打と投打の軸も機能。伊東監督のやりくりのうまさが光った。

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