なぜ30歳の元メジャーリーガーが独立リーグへ? 茨城アストロプラネッツのGMはどうやって選手と代理人を口説き落としたのか

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Getty Images

 プロ野球の開幕から13試合が経過し、各チームで新外国人選手が奮闘中だ。

 広島のマット・デビッドソンやオリックスのマーウィン・ゴンザレスのように好発進した者がいれば、ストライクゾーンの違いや見慣れない投手に苦しめられる打者もいる。「野球とベースボールは異なる競技」と言う日本人の元メジャーリーガーが多くいることを考えると、新外国人選手たちが実力を存分に発揮できるようになるには、一定の適応時間が必要だろう。

アレン・ハンソンはドミニカ共和国出身のスイッチヒッターアレン・ハンソンはドミニカ共和国出身のスイッチヒッターこの記事に関連する写真を見る 試合数がある程度消化され、それでも成績を残せなかった場合、各球団は決断を迫られる。既存の"助っ人"に見切りをつけ、シーズン途中の締め切りまでに新外国人選手の補強に動くか、否かだ。

 すべてのNPB球団にほぼ必ず訪れる局面で、そこにビジネスチャンスをうかがう独立リーグ球団がある。BCリーグの茨城アストロプラネッツだ。

 2021年にはセサル・バルガスをオリックスへ、ダリエル・アルバレスをソフトバンクへ移籍させた。移籍金の相場は数百万円。予算の限られた独立リーグ球団にとって、大きな額だ。対してNPB球団には、直接視察できるというメリットがある。

「僕がGMに就任した1年目からストーリーが続いています。その流れを踏まえて今年の外国人選手を獲得しました」

 そう語るのは、2020年オフからアストロプラネッツの編成を担当する色川冬馬GMだ。

 現役時代は北米の独立リーグでプレー、監督としてイラン代表や香港代表などを率い、さらにアメリカを転戦しながら現地球団との契約を目指すアジアンブリーズを運営して人脈を築いてきた。そのコネクションを活かし、日本の独立リーグでは明らかに異色の補強を敢行している。

「日本ではパワーピッチャー、パワーヒッターの需要が高いことがわかりました。今回はそういうタイプではなく、スケールの大きなユーティリティ選手がNPBで需要があるのか、という挑戦をしています」

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