WBC日本代表ブルペン捕手・鶴岡慎也が見たダルビッシュの変化 中継ぎ投手は「この状況になったらこの投手」と事細かく決まっていた (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

── 中継ぎ投手の順番はどうだったのでしょうか。

鶴岡 1次ラウンドの東京ドームは、ブルペンに試合映像を流すモニターがありました。厚澤和幸ブルペン担当コーチが「この状況になったらこの投手」というように、事細かに指示を出してくれました。厚澤コーチはブルペンのスペシャリストなので、中継ぎ投手は準備がしやすかったのではないでしょうか。

【日本投手陣の適応力に感心】

── 初戦の中国戦の試合運び、選手たちの反応はどうでしたか?

鶴岡 周囲の評価は、中国とは実力差があるということでした。先発の大谷投手は4回を無失点。しかし攻撃陣は5回まで11四死球を選びながら3得点と、中国投手陣を完全に攻略できませんでした。そんななか、第2先発の戸郷投手がソロ本塁打を浴びました。ほぼ知らない相手と戦う一発勝負の国際大会の怖さを知りました。

── 2戦目の韓国戦はいかがでしたか。

鶴岡 韓国戦は過去の戦いの歴史もあって、選手たちから特別な緊張感が伝わってきました。先発したダルビッシュ投手は、契約の問題もあって、この試合が今季初の対外試合でした。計り知れない重圧、さらに本調子でないなか、2ランは浴びましたが、3回3失点でまとめたのはさすがだなと感じました。打線もすぐに逆転してくれましたし、さすが侍ジャパンに選出された選手たちだなと思いました。

── 3戦目のチェコは、教師や金融トレーダーなど、さまざまな本職を持つ選手の集団でした。

鶴岡 いろいろな情報はあったと思いますし、映像も見たと思います。しかし実際に対戦してみるまで、どんな投手なのか、どんな打撃をするのかわかりませんし、戸惑いながら戦いに突入した感じです。実際、先発したサトリア投手の125キロのストレートを打ちあぐね、3回には大谷選手が三振に打ちとられました。投手ひとりで全然違う結果が出るし、野球というスポーツは、初見では投手が圧倒的有利であるということを実感しました。

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