侍ジャパンのブルペン捕手・鶴岡慎也が強烈な印象だった投手2人「構えたミットに吸い込まれる」「下から突き上げてくる」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Getty Images

── アメリカ行きをかけた準々決勝はイタリアが相手でした。

鶴岡 イタリアはメジャーリーガーが増え、守備では大胆なシフトを敷いてきましたね。そんななか、中6日での大谷投手の登板は予定どおりだったと思います。第1戦では4回49球を投げていましたが、この日は4回2/3を2失点にまとめてくれたのはさすがでした。なによりマウンドで雄叫びを上げて投げていたのは、アメリカ行きに向け、ナインを鼓舞してくれたのだと思います。打者としてもセーフティーバントをしたり、勝利への執念を見せてくれました。

 大谷投手をリリーフした伊藤大海投手(日本ハム)も、二死一、三塁で相手の4番打者を封じ、ピンチを断ちました。伊藤投手はマウンド度胸満点で、重要な局面はもってこいでしたね。

【ダルビッシュ→大谷の豪華リレー】

── アメリカに移動して行なわれた準決勝の相手はメキシコ戦でした。

鶴岡 佐々木投手は大谷投手やダルビッシュ投手と遜色ないスピード、変化球のキレを持っています。しかし4回表、145キロの抜けたフォークをホームランにされました。私は左中間に位置するブルペンで、山本投手の球を受けていました。飛んでくる打球がブルペンから見えて「やられた」と思いました。

 メキシコはスタメン全員がメジャー経験者で、佐々木投手クラスでも失投すればスタンドインされてしまう。あとの話になりますが、源田壮亮選手(西武)が送りバントしたシーン(8回裏)がありましたが、その時もシフトを敷いた細かな守備など、さすが準決勝となるとこれまでの相手とはレベルが違うと感じましたね。

── 試合は3点をリードされる苦しい展開でしたが、ブルペンの雰囲気はどうでしたか。

鶴岡 重く感じた3点ではありましたが、7回裏に4番・吉田正尚選手(レッドソックス)が同点3ラン。しかし喜びもつかの間、8回表に山本投手、湯浅京己投手(阪神)が打たれ2失点。ふつうだったら敗戦の流れなのですが、なぜか「これは絶対に逆転するな」という雰囲気がブルペンのなかに漂っていたのは不思議でしたね。もっとも、そう感じていたのは私だけかもしれませんが......。

 でも思ったとおり、1点ビハインドの9回裏、先頭の大谷選手が二塁打、続く吉田選手が四球を選んで代走に周東佑京選手(ソフトバンク)。そして最後に、ここまで調子が上がらなかった村上宗隆選手(ヤクルト)の安打でサヨナラ勝ちを収めました。この戦いを見て、やはり日本は強いチームなんだと思いましたね。

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