トレンディエース西崎幸広は「あれ以来、セカンドバッグは持っていない」怒りの契約更新、当時の超絶人気ぶりを振り返った (3ページ目)

  • HISATO●取材・文 text by HISATO

【「トレンディエース」と呼ばれるきっかけ】

――西崎さんは現在もそうですが、おしゃれに気を遣っている印象があります。現役当時からこだわりはありましたか?

西崎 洋服とか持ち物については、特に「これ」っていうものはないんですけど、基本、人と同じ格好をするのは好きじゃないんです。人が着てないものを着て、同じような服を誰かが着ているのを見たらやめる、というタイプですね。

 昔は球場に行く時も、みんな同じような格好をしていたじゃないですか。それが嫌だったのでみんなとまったく違う格好をしていたら、「トレンディエース」と言われるようになったんです。

――ファッションのトレンドを作っていたんですね。ちなみに、一緒にトレンディエースと言われていた方々は、阿波野秀幸さんなど指導者の道を進まれている方が多いですが、西崎さんがチームの指揮を執るのは今回が初めて。これまでは、コーチや指導者になろうという気持ちがあまりなかったのでしょうか。

西崎 いや、そんなことはないですよ。そういうことは、やはりご縁がないと。自分の一存でユニフォームを着られるものでもないですから。大学や出身地などさまざまなつながりもありますからね。ただ、どこかから声をかけていただいていたら、考えていたと思います。

――今までは、試合の解説がメインでしたね。

西崎 そうですね。状況を見ながらですが、監督になってからも解説は続けていきたいと思っています。

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 西崎氏の指導者としてのキャリアはスタートしたばかりだが、オープン戦で選手に声をかけ、時に笑みを浮かべながらも鋭い視線を向ける様子を見ると、グラウンドにいるのが自然だと思えた。

選手に指導する西崎監督(左)photo by HISATO選手に指導する西崎監督(左)photo by HISATOこの記事に関連する写真を見る 監督就任記者会見では、「トレンディエース2世を育てるのか?」という報道陣の質問も。それに対しては「素材がいれば育てたい。しかし2世を名乗るのであれば、必ずNPBに行かなければダメ。そうなって初めて『トレンディエース2世』と呼べる」と答えた。

 西崎監督の手で育てられ、厳しい競争を勝ち抜いてNPBに巣立っていく投手は現れるのか。4月8日に開幕するシーズンでは、「トレンディ監督」と、その愛弟子たちの今後に要注目だ。

【プロフィール】
西崎幸広(にしざき・ゆきひろ)

1964年生まれ。滋賀県出身。瀬田工業、愛知工大を経て、1986年、ドラフト1位で日本ハムに入団。1年目から15勝を挙げ、翌年には最多勝のタイトルを獲得。1991年まで5年連続でふた桁勝利を挙げるなど活躍した。その後、1998年に西武に移籍してからはクローザーも務め、127勝20セーブの記録を残して2001年に現役を引退。解説者やYouTubeチャンネルでも活動し、2023年度からルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズの監督を務めることになった。

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