広岡達朗は巨人・オコエ瑠偉に「身体能力の高さは一軍クラス」と絶賛も「人間そうそう変われないよ」 (2ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Koike Yoshihiro

【脚力と守備力は一軍クラス】

 関東一高時代から抜群の身体能力を誇るオコエは、2015年のドラフトで楽天から1位指名を受け入団。ルーキーイヤーから開幕一軍を果たすなど将来を嘱望されていたが、本業の野球よりもグラウンド外のほうで注目を集めてしまった。

 ルーキーイヤーにV字のモヒカン頭でキャンプインしたり、年俸を超える高級車を購入したり、とにかくプライベートで話題を振りまき、マスコミの格好のネタにされた。そうしたオコエの行動に対して、「野球に集中していない」「一人前の選手になってからやるべき」といったマイナスなイメージがつきまとった。

 楽天時代から野球以外の話題があまりに目立ったため、素行が悪いという評判が立つのは否めない。広岡が言及する。

「人間そうそう変われないよ。短期間ならなんとか取り繕っていられても、長くは続かない。オープン戦の成績がよかったかもしれないけど、シーズンを通して公式戦で使える保証はない。実際、毎年オープン戦はいいけど、シーズンに入るとまったく打てなくなる選手をたくさん見てきた」

 オープン戦の成績は目安にはなるが、あてにならないというのは定説だが、先述したように環境の変化によって飛躍的な活躍をする選手がいるのも事実。とくにオコエの場合は、環境を変えたい一心で、楽天から出ることを望んでいたという。

「素質に関して言うと、関係者から解説者まで口を揃えて絶賛する。あの脚力と守備力はたしかに一軍クラス。ただ調子がいい時はいいけど、悪くなった時に悪態とかつかなきゃいいけど......。そもそも、調子のいい悪いで気持ちがぐらつくこと自体、プロとして失格なんだ。とにかく1年を通して、気持ちを切らすことなく働いて、成績を残せれば本物だ。これまでまともに一軍でプレーしていない選手が巨人に来て、どれくらいの活躍をするのか見ものだ」

 4月4日のDeNA戦でもオコエは「1番・レフト」で出場し、2安打、1得点の活躍でチームの3連勝に貢献した。はたして、想像を超える活躍で巨人の歴史に爪痕を残すことができるのか。オコエから目が離せない。

プロフィール

  • 松永多佳倫

    松永多佳倫 (まつなが・たかりん)

    1968 年生まれ、岐阜県大垣市出身。出版社勤務を経て 2009 年 8 月より沖縄在住。著書に『沖縄を変えた男 栽弘義−高校野球に捧げた生涯』(集英社文庫)をはじめ、『確執と信念』(扶桑社)、『善と悪 江夏豊のラストメッセージ』(ダ・ヴィンチBOOKS)など著作多数。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る