侍ジャパンの準決勝メキシコ戦で佐々木朗希→山本由伸のリレーはあるか 日本が決勝に進めば勝率は100%から考えられること (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Getty Images

「準決勝からの逆算をするつもりはありませんが、準々決勝、準決勝は絶対に勝ち抜かなければ決勝に行けないというふうには思っています。(大事にするのは準々決勝と準決勝の両方ということか?)いや、だからそういうふうには言いたくない(笑)。ただ事実として、そこを抜けなければ決勝には行けないということはあります。

 最後まで行けば、必ず何かが起こせると思っていますから......僕はアメリカをやっつけたいんです。憧れて戦うわけじゃない。あのすごいメンバーに勝ってやると思っていて、それが日本の野球にとって大きな意味を持つと思っています。そのためには準々決勝を抜けなければアメリカと戦えないし、準決勝を勝てなければアメリカにも勝てていないことになります」

 この時点では、どういう勝ち上がり方をしても準決勝の相手はアメリカになるという話だった。ところが、準決勝の相手はアメリカではないということが準々決勝を前に突然、発表された。その明確な理由は明かされなかったが、いずれにしても日本の準決勝の相手はアメリカとベネズエラの勝者ではなく、プエルトリコとメキシコの勝者──結局、準決勝の相手はメキシコになった。「アメリカをやっつけたい」と話していた栗山監督のなかで、この組み合わせの変更がピッチャーの起用法に何らかの影響をもたらしたとしても不思議ではない。

【山本由伸と佐々木朗希のメンタリティ】

 準決勝で戦うはずだったアメリカとは、少なくとも決勝まで当たらない。ならば準決勝はなにがなんでも勝つというだけでなく、どう勝つかも求められる。指揮官は準々決勝で大谷翔平とダルビッシュ有を注ぎ込んだように、準決勝でも佐々木朗希と山本由伸を突っ込むのだろうか。あるいは山本にはアメリカかベネズエラが待ち受ける決勝に備えさせるのだろうか。栗山監督はこうも言っていた。

「僕はこのWBCにはいくつかのテーマがあると思っていて、そのなかにはメジャーを圧倒できる次代の日本のスターを作るということもあります。同時に、歴史というものは勝者の歴史なので、勝たなければやったことが伝わらない可能性もあります。もちろん由伸や(佐々木)朗希の状態がよければそこ(準決勝、決勝)で行くべきだけど、2人を上回るピッチャーがいれば躊躇すべきでないという考え方もある。野球は勝ちにいかなきゃいけないわけで、日本野球の未来のための舞台ではあるけど、ひとりの選手の未来のための舞台ではない。

 準々決勝は3月16日の東京ドーム、準決勝はアメリカに移動して20日(現地時間)......少し間が開くのでいろんな幅が生まれます。決勝まで行けば投げられるピッチャーを1イニングずつ行ってもらうことだってあるかもしれない。先を計算してその前で負けてしまっては何もなりませんから......チームは生きものだし、だからこそこの選手が今は元気なのか、弱っているのかを間違わずに見極めることが監督としての勝負だと思っています」

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