初代WBC侍ジャパンの西岡剛が振り返る、アメリカ戦のタッチアップ、韓国戦での「完璧」な一発、気まずかったシャンパンファイト (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • Photo by 日刊スポーツ/アフロ

【「世紀の大誤審」が起きたタッチアップ】

――今でこそ盛り上がりを見せているWBCですが、第1回大会の時は東京ドームに空席も目立ちました。同大会に出場された清水直行さん(ロッテ)は、スタンドを見ながら「本当に野球の世界大会なのか?と思っていた」と話していました。

西岡 最初は、どんな大会なのか認知されていませんでしたからね。日米野球の延長のような感じがありましたし、イベントゲームという感じでした。お客さんも「勝負云々より、王貞治監督が率いるチームで、イチローさんが出るから見に行く」という方が多かったのかもしれません。開幕戦の中国戦なんて、本当に少なかった印象があります(入場者1万5869人)。

 第2ラウンドでアメリカへ行ってから、(アメリカ戦での)僕のタッチアップ(※)が日本のニュースでたくさん流れて、そこから盛り上がっていった感じじゃないですかね。

(※)3-3で迎えた8回1死満塁の場面で、岩村明憲(元ヤクルトなど)がレフトにフライを打ち上げ、三塁走者の西岡がタッチアップして生還。しかしアメリカ側が「(西岡の)離塁が早かった」と主張し、球審のボブ・デービッドソンが判定を覆してアウトを宣告した。

――あのタッチアップは最高のスタートでした。

西岡 浅めのレフトフライだったので、いいスタートを切りたいという思いが強かったです。判定が覆ったことには当然、「なぜアウトなんだ?」という思いもありましたが......。結果的にその件がメディアで大きく取り上げられたこともあって大会が認知され、視聴率も上がっていったっていう感じだと思うので、その意味では貢献できたのかなと。

――あれで日本のファンが一体になった感じがしますが、チームにも一体感が生まれたんですか?

西岡 個人的な考えですが、選手に関しては一体にならなくてもいいと思っています。個々がやるべきことをやれば、それが勝ちにつながっていきますから。勝てば「いいチームだった」と言われ、負ければ「うまくいかなかった」となる。結局は結果がすべてなので。

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