最速150キロ、回転数2800...藤川球児級のストレートを投げる西武・三浦大輝は、なぜ育成ドラフト3位だったのか? (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 ある球団のスカウトが挙げた理由は「コントロール」だ。球数の多さとリーグ戦での四球の多さだった。

 たしかにリーグ戦の投球を見ても、高めに浮いてボール球になる傾向はあった。あとから聞いたストレートの回転数は、最大で2800回転に達するという。ちなみに、昨年の都市対抗での東芝・吉村貢司郎(ヤクルト1位)はおよそ2400回転と言うから、三浦のホップ成分がいかにすごい数字かがわかる。

 ただ跳ね上がろうとする球質のため、ゾーンはどうしても高くなってしまう。そこが懸念されたのかもしれない。しかし三浦の場合は、タイプとして"そこ"で勝負できるタイプだと思う。つまり、イメージは藤川球児だ。高めに跳ね上がるような快速球を武器のひとつにして、高低で勝負する。

 リーグ戦で相手するバッターは、三浦をリーグ屈指の剛腕だとわかっているため、高めは絶対に振ってこない。逆に、プロ野球の場合はその"勝負球"を狙ってくるから、その威力を発揮できるという側面がある。

【先輩・水上由伸に近い球筋】

 西武の先輩投手でいえば、昨シーズン、リリーフとして大奮闘し、新人王にも輝いた水上由伸に近い球筋だ。

 水上が、時計の文字盤でいう"12時"あたりから投げ下ろしてくるのに対し、三浦は高校2年まで捕手をしていた名残りなのか、腕の位置はボール2つ、3つ分ほど低い。角度はちょっと違うが、快速球のホップ成分はまったく大差ない。

 昨年秋のドラフト前、前述した吉村をはじめ、白鴎大の曽谷龍平(オリックス1位)、専修大の菊地吏玖(ロッテ1位)、富士大の金村尚真(日本ハム2位)といった快腕、剛腕のボールを間近で見る機会があった。

 どれもこれも顔をそむけたくなるような猛烈な勢いのストレートだったが、ネット裏の記者席から見た三浦のボールも、彼らにまったくひけをとらない。

「それだけのボールを投げるヤツですからね。おかげさまで社会人からもたくさん話をいただいたんですけど、本人がとにかくプロ一本ですから。『プロ待ちでも......』っていうチームもあったんですけど、お断りすることで、自分にムチを入れるっていうんですかね。そこまでの決心でプロを目指していたヤツですから」

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