広岡達朗が中島、長野、松田のベテラン右打ちトリオを揃えた巨人に苦言。「再生させる指導者が今のチームにいるのか?」 (2ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Koike Yoshihiro

 中島は勝負強いバッティングに定評があり、代打の切り札だけでなく、一塁も守れる。なにより、通算2000本安打達成(残り77本)という高いモチベーションがある。とはいえ、昨シーズンは62試合の出場で24安打だったことを考えれば、衰えが目立っているのは間違いない。

【ベテランに再建を託すようでは厳しい】

 広岡はチームでのベテランの扱いについて、こう言及する。

「ベテランにいてほしいというのは間違いなくあるだろうが、同様にいつ活躍できなくなっても不思議ではない。移籍してくるベテランは、活躍できてせいぜい2、3年がいいとこ。当然、"現役引退"の意識があるため、最後に花を咲かせたいという思いは絶対にあるはず。だからこそ、抜本的な見直しが必要であり、指導が必要になってくる。ただ、アーリーワークを一生懸命やっているからいいというのではない。ベテランだからこそ調整法を任せるのではなく、体質改善や意識変化といった目に見える成果が出るものを提供していくのが指導者なんだ。

 ヤクルト時代の若松勉にしろ、西武時代の田淵幸一、大田卓司など、監督である自分が自ら喝を入れたものだ。指導者が一番やってはいけないことは、遠慮することである。今年のキャンプ前にヘッドコーチである阿部慎之助が『ベテラン3人はベンチに置けない。1人なのか2人なのかわからないが、競争してくれ』と長野に伝えたと言って物議を醸したそうだが、何が悪いんだ。むしろ、ベテラン3人が活躍しているようでは困るのだ」

 広岡は、ベテランに再建を託すようでは、ペナント奪還は厳しいと言いたいのだろう。それでも彼らがチームにいる以上、なんらかの形でプラスにすべきだ。若手の勢いは間違いなく必要であるが、長いペナントレースを戦うなかで、ベテランが必要になる時は必ずあるはずだ。

 事実、昨シーズンの巨人は若手を多く起用し序盤こそ好調だったが、その後は息切れし、そのままズルズルといってしまった感があった。

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