WBC公式球に慣れるまでの苦労を、ロッテOBの清水直行が実体験から語る。「スッと抜くボールが投げづらかった」 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • Photo by Sankei Visual

【硬いマウンドへの対応と、大会後の影響】

――マウンドに慣れるために、どんな対策をしましたか?

清水 アナハイム(エンゼル・スタジアム)で行なわれたアメリカ戦の前に、「マウンドが硬くて、あまりスパイクの歯が入らない」と聞いていたので、練習では歯をちょっと削って低くしたり、歯を少なくしたスパイクで投げました。歯が高いと引っかかっていたと思いますが、対策をしたおかげで実際に投げた時もあまり違和感がなかったです。
 
 今回の準決勝、決勝の舞台になるマイアミ(ローンデポ・パーク)もマウンドが硬めで少し高いようですし、いかにアジャストできるかがポイントです。あと、僕らが試合をしたサンディエゴ(ペトコ・パーク)は乾燥していましたが、マイアミは湿度が高い。湿度の違いでボールを持つ感覚は変わりますし、それにも早く慣れたいところですね。

――WBC球にアジャストし、大会を戦ったあとにプロ野球のシーズンに入るわけですが、ボールやマウンドが戻ることでピッチングに影響はありましたか?

清水 WBC球にアジャストする時は多かれ少なかれ苦労するピッチャーがいると思いますが、いつものボールやマウンドに戻る時は意外と大丈夫だと思います。僕の場合はボールの感触や環境が元に戻った安堵感が大きかったですし、感覚を戻す作業はスムーズなほうだったと思います。

 ただ、先ほど話したように、カーブやスライダーを多投するピッチャーだと、NPB球の感覚を取り戻す時も時間がかかるのかもしれません。

――今回の投手陣は、戸郷翔征選手(巨人)、佐々木朗希選手(ロッテ)、栗林良吏選手(広島)、湯浅京己選手(阪神)、宇田川優希選手(オリックス)、高橋宏斗選手(中日)ら、外国人バッターに有効なスプリット、フォークを得意とするピッチャーが多く選ばれています。

清水 カーブやスライダーに比べて、スプリットやフォークは投げる上で違和感が少ないと思います。指先の感覚が慣れてくればWBC球のほうがよく落ちますし、かなり有効な武器になるはずです。

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