日本ハムのドラ1・矢澤宏太に山本昌が授ける、プロの世界で生き抜く術。「無理して太る必要はない」 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kai Keijiro

山本 でも、今の体(173センチ、71キロ)でいいんじゃないですか。別に無理して太ることはないし、プロに入って筋力がつけば自然と体重は増えるものだし。むしろ20代後半になると体重は減らなくなって、戻せなくなる選手も多いんです。それでヒザを痛めるなど、故障の原因になってしまう。今の体でも投打ともあれだけ力強さがあるのだから、全然問題ありません。

矢澤 ありがとうございます。

【野手としてはもっと成長できる】

山本 高校時代からストレートは速かったけど、今の150キロ台をポンポンと投げ込む力強さは大学に入ってから出てきたものですよね?

矢澤 高校時代は常時130キロ台中盤くらいで、真っすぐは大学4年になってからよくなってきました。とくにプロアマの試合(2022年8月1日/U−23 NPB選抜 対 大学・社会人選抜)で、自分のなかで真っすぐに自信がつきました。

山本 変化球はどうですか? 高校時代もたくさんの球種を投げている感じもしなかったけど。

矢澤 スライダーに自信があります。

山本 あれだけ腕が振れれば、左バッターからガンガン三振をとれるよね。スライダーと逆方向に曲がる変化球はありますか? チェンジアップとか。

矢澤 秋のシーズンはチェンジアップも結構投げて、ツーシームも試しました。

山本 ツーシームは合う人と合わない人がいるので、スピードが落ちたと思ったら、すぐにやめたほうがいい。それで球速が落ちた人はたくさんいますから。この前に黒田博樹くん(元広島ほか)と話したんだけど、「上手に投げないと、すぐに手首が寝る」と言っていました。中日の大野雄大くんのようにまったく問題ない人もいるし。

矢澤 はい。

山本 コントロールについてはどうですか? 高校時代はフォアボールを1試合10個以上も出すこともあったと聞いたのだけど(笑)。

矢澤 僕はもともとコントロールに自信がなかったので、大学の下級生の頃はすごく気にして投げていたんです。でも、辻さんから「おまえのそんな小さいピッチングを見て、何が面白いんだ。誰もまた見たいと思わないよ」と言われました。それからは割りきって投げるようになって、だんだんよくなりました。あとはバッターを見すぎて体が開いてしまうクセがあったので、投げる前に目線をそらして見すぎないことを意識しています。

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