斎藤佑樹×車いすバスケ香西宏昭が思い描くスポーツ界の未来「もう野球だけやりなさいは流行らない」 (3ページ目)

  この記事に関連する写真を見る香西 今の日本代表の最年長が39歳の藤本怜央選手でまだバリバリです。車いすスポーツは一般のスポーツと比較して、長くプレーできると思います。

斎藤 同世代が頑張ってくれているのがすごくうれしいと感じるんですよ。

香西 僕ももうちょっと、とりあえずパリぐらいまではやりますよ。

斎藤 2024年。

香西 そうですね。今年はパリの前に出場権をかけた予選があるので、まずはそこに向けて心技体のピークをつくろうと思っています。

斎藤 現役を引退したあと、何かやりたいことはあるんですか?

香西 僕は車いすバスケを次世代につなげていく活動をやっていきたいなって思っています。

斎藤 具体的なアイデアはあるんですか?

香西 僕はバスケを始めて1年目、13歳の時に『Jキャンプ』というNPO法人がやっている車いすバスケキャンプに参加したんです。そこで講師をしてくれた当時イリノイ大学のヘッドコーチだったマイク・フログリーさんと出会って、自分の人生に多くの可能性と選択肢があることを教えてもらいました。それでイリノイ大学へ進学して、プロ選手になって日本代表にもなったんです。だから今度は僕が、日本でそんな新しい場や機会をつくっていきたいなって思ったんです。

斎藤 すばらしいですね。僕は引退してから「野球未来づくり」をビジョンに掲げて活動しているんです。子どもたちだけじゃなくて、野球に携わっている人たちがみんなで楽しく、「野球っていいスポーツだよね」って言い合えるような未来をつくりたいなって。一番の夢は、野球場をつくることなんです。その周りにテニスや車いすバスケやいろいろな施設があって、みんなが同じ場所で一緒に楽しめる......。

香西 最高、いいですね!

斎藤 今日は野球をやろう、明日はバスケをやろう、でいいなと思って。今は「野球だけやりなさい!」なんて、もう流行らないと思うんです。多様性を認めると、選択肢が広がりますよね。そんな球場をつくることが僕の夢です。バスケットコートもつくるので、ぜひ一緒にやりましょう!

香西 やります、やります!

おわり

構成・文●市川光治(光スタジオ)

撮影・文●名古桂士、伊藤真吾(X-1)

斎藤佑樹(さいとう・ゆうき)/1988年6月6日生まれ。群馬県出身。早稲田実業高のエースとして、2006年夏の甲子園において「ハンカチ王子」フィーバーを巻き起こし、全国制覇。早稲田大進学後も東京六大学リーグで活躍し、2010年にドラフト1位指名で北海道日本ハムファイターズに入団。1年目から6勝を上げ、2年目は開幕投手も務めた。ケガに悩まされて2021年シーズンで引退。株式会社斎藤佑樹を立ち上げて、野球の未来づくりにつながるさまざまな活動を開始した。

香西宏昭(こうざい・ひろあき)/1988年7月14日生まれ。千葉県出身。NO EXCUSE所属。小6で車いすバスケを始める。高校生の時に千葉ホークスの中心選手として日本選手権で優勝し、卒業後に渡米。イリノイ大学では2年連続全米大学リーグシーズンMVPを受賞。卒業後はドイツでプロ選手のキャリアを重ね、昨シーズンはドイツリーグ優勝。パラリンピックは4大会連続出場。東京大会は3ポイント成功数、成功率ともに1位で銀メダル獲得に貢献。昨年から拠点を日本に移して活動開始。

天皇杯第48回 日本車いすバスケットボール選手権大会

  

 2019年5月の前回大会以来、3年半ぶりの 開催となる天皇杯。コロナによる大会の空 白期間に、2021年の東京パラ銀メダル獲得、 2022年のU23世界選手権優勝と日本の車いすバスケは大きく進化した。

 一方、国内クラ ブチームシーンでも若手の成長、引退や移籍で戦力が大きく変動することになった。

 大会12連覇に挑む宮城MAXと予選を勝ち上 がった7チームはどこも自分たちの強みを 持った実力派揃い。天皇賜杯と日本王座をめぐる争いは、かつてないほどに熾烈を極めることになりそうだ。

 日本の車いすバスケに新時代の扉を開く 第48回大会。久々の有観客開催となるので、 その熱を会場で体感してほしい!

【日程】2023年1月20日(金)・21日(土)

【会場】東京体育館

【テレビ放送】BS日テレ 15:30~17:30

【チケット】20日は終日無料 21日は有料観戦

チケットはQRコードのローソンチケットで発売中!

  

◆【動画】斎藤佑樹×車いすバスケ・香西宏昭 異種アスリート対談

動画撮影●大井沙紀

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