ヤクルト髙津臣吾監督「日本シリーズは悔しさしかなくて、記憶が曖昧で...」。真中満と語らう激闘。数少ない鮮明に覚えているシーンとは? (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【悔しくて、日本シリーズの記憶は曖昧...】

真中 では、ここからは2年連続の激闘となったオリックス・バファローズとの日本シリーズについて伺います。僕は「4勝2敗でヤクルト」と予想していました。あるいは、「山本由伸の状態がよくなければ4勝1敗もあり得るかな?」と。そして、初戦で見事に山本を攻略した。初戦の入り方については、かなり意識したんじゃないですか?

髙津 もちろん、初戦で山本投手を攻略したことは鮮明に覚えているし、第7戦でジェイコブ・ワゲスパック投手が投げて、塩見(泰隆)が三振してゲームセットになった場面もよく覚えているけど、実はシリーズ全般の記憶が曖昧なんですよ。ペナントレースの記憶は鮮明なのに、日本シリーズに関してはあまり覚えていないんです。

この記事に関連する写真を見る真中 1試合1試合、常にリセットしているからですか?

髙津 いや、完全に入りきってしまっていたことと、もう悔しさしかなかったからです。「悔しさ」が強調されているから、具体的な試合内容よりも「負けてしまった」という思いが強いんです。

 全7戦、それぞれのポイントがあったのはもちろんなんだけど、初戦に山本由伸投手を打ち崩したこと、第2戦で(内山)壮真のホームランで引き分けたこと。あとは......もうそれくらいしか思い出せない(笑)。

真中 敵地・京セラドーム大阪に乗り込んだ第3戦では、不振の山田哲人を三番から一番に起用しました。それまで一番だった塩見泰隆との入れ替えだったけど、これは塩見のためにというよりは、山田の復調を考えた起用だったと思ったんですけど......。

髙津 もちろん、そうです。でも、本当はそれもしたくなかった。塩見は一番に固定して、「三番・山田哲人、四番・村上宗隆」は決して崩したくなかった。それが本音でしたね。

真中 シーズン中も、基本はそのスタイルでしたからね。

髙津 僕はバッターのことはよくわからないけど、気分転換も大切だし、打順を変えることで何か変わるチャンスがあるのならばという思いはありましたね。

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