「ポスト吉田正尚」の最有力、オリックス来田涼斗が目指す「糸井嘉男のフィジカルと吉田正尚の打撃力」 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

── 来田選手が感じる、吉田選手のすごさとは、どんなところですか?

来田 失投を打ちミスしないところ。あとは選球眼がよくて、三振が少ないところです。

── 打撃練習やロングティーを見ても、圧倒的ですものね。

来田 神宮(球場)なんか全部スタンドに入れていたので、すごいです。12球団で一番いいバッターだと思います。

 技術論としては極めて苦しい受け答えだが、来田の天才性を知るには最高の受け答えだった。来田のなかで、「プロ入り後に自分の打撃が大きく変わった」という感覚はないという。成長期の子どもの身長が伸びていることに周囲が気づいても、日々を生きる本人には実感がないのと同じかもしれない。

【苦しんだ2年目シーズン】

 プロ初打席初本塁打という最高のデビューを飾った来田だが、プロ2年目の2022年は一転して苦しんだ。わずか10試合の出場で23打数3安打、打率.130。その背景に何があったのか、来田に振り返ってもらった。

来田 シーズンの始めの頃はめちゃくちゃ調子がよかったんです。その後に1回、衝突して、脳震盪があって。

── 5月26日、ウエスタン・リーグのソフトバンク戦で外野守備中に味方選手と交錯したアクシデントですね。あの脳震盪で打撃の感覚が狂ったのでしょうか。

来田 そのせいにはしたくないんですけど、その後の試合からだいぶ打率も落ちてしまいました。そんな時でも結果を残せるようにしたいです。

── 10月2日の楽天戦(楽天生命パーク)で来田選手は約5カ月ぶりに一軍に昇格し、優勝のかかった最終戦でスタメン出場しています。サプライズ起用のように感じましたが。

来田 9月はファームでホームランを4本打ったり、本当に調子がよかったんです。1カ月だけでしたけど、何かをつかめたのかなと思います。

── 「何か」というのは、やはり言葉というより、体で覚えた感じですか?

来田 そうですね。僕はどちらかというと反応型のバッターなので。

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