吉井理人が山本昌に打ち明けた監督就任秘話「冗談言ってんちゃうかなって...でも、断る理由はなかった」 (3ページ目)

  • 長谷川晶一●文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Igarashi Kazuhiro

山本 パ・リーグってすごくレベルが高いじゃないですか。そのなかでマリーンズは、力はあるのに、なかなか勝ちきれないところにいますよね。だから「勝ちきる」っていうのが大事になるんじゃないかなと思うんです。これまでのマリーンズは、リーグ制覇して、でんと待ち構えたままクライマックス・シリーズを戦うのではなく、「下剋上」で勝ち上がっていくイメージですよね。だから、ぜひリーグ制覇して、堂々と待ち受けてほしい。そんな思いは強くありますね。

吉井 そうなんですよ。マリーンズのパ・リーグ優勝は05年以来になるんだけど、それもプレーオフでの優勝。その前の74年は前期、後期制のプレーオフ制での優勝だったので。もう長いことパ・リーグでリーグ1位での優勝(1970年から)をしてないので、まずは「リーグ制覇」を実現しなければという思いは強いですよ。

山本 そう、日本一にはなっているんだけれども、CSを勝ち上がっての日本一なんでね。やっぱり、リーグ制覇してZOZOマリンスタジアムで待ち受けて、堂々とCSファイナルステージを勝ち上がって、日本シリーズっていうのをぜひ実現してほしいなと思いますね。

── あらためて、吉井監督に2023年ロッテの見どころ、そして抱負をうかがいたいと思います。

吉井 見どころは若い選手ですね。伸び盛りの若い選手の活躍を見てほしいなと思います。それもちょっとずつ活躍するんじゃなくて、バーンと突き抜けるような選手が何人か出てきてほしいなと思っています。もちろん、(佐々木)朗希もまだ突き抜けてないし、トミー・ジョン明けの種市(篤暉)。で、3年目の中森(俊介)というピッチャーがいるんですけども、彼らはすごくいいです。野手だと安田(尚憲)、山口(航輝)、藤原(恭大)。このあたりが突き抜けてはいないので、彼らの大活躍を期待してくれたらいいかなと思っています。彼らが活躍しないと勝てないと思うので。

山本 いま監督から名前が挙がった選手を聞いていると、ロッテのドラフトはすごく成功していますよね。いい選手をきちんと獲得しているので、化ける可能性はすごく高い。そこに、僕も期待したいですね。

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吉井理人(よしい・まさと)/1965年、和歌山県生まれ。箕島高時代は甲子園に2度出場し、83年ドラフト2位で近鉄に入団。4年目の87年にプロ初勝利を飾り、5年目はリリーフとして50試合に登板して10勝2敗24セーブの活躍を見せる。95年の開幕直前にトレードでヤクルトに移籍。先発に転向して3年連続2ケタ勝利を挙げる。97年オフにFAでメッツに移籍。その後、ロッキーズ、エクスポズでもプレーし、メジャー通算32勝をマーク。帰国後はオリックス、ロッテでプレーし、07年に現役を引退。引退後は日本ハム、ソフトバンク、ロッテでコーチを務め、23年からロッテの監督を務める。

山本昌(やまもと・まさ)/1965年、神奈川県生まれ。日大藤沢高から83年ドラフト5位で中日に入団。5年目のシーズン終盤に5勝を挙げブレイク。90年には自身初の2ケタ勝利となる10勝をマーク。その後も中日のエースとして活躍し、最多勝3回(93年、94年、97年)、沢村賞1回(94年)など数々のタイトルを獲得。06年には41歳1カ月でのノーヒット・ノーランを達成し、14年には49歳0カ月の勝利など、次々と最年長記録を打ち立てた。50歳の15年に現役を引退。現在は野球解説者として活躍中。

【著者プロフィール】長谷川晶一(はせがわ・しょういち)

1970年、東京都生れ。早稲田大学から出版社勤務を経て、2003年にノンフィクションライターに。2005年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。著書に『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた ! ―涙と笑いの球界興亡クロニクル』『いつも、気づけば神宮に―東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』『幸運な男―伊藤智仁 悲運のエースの幸福な人生』『詰むや、詰まざるや―森・西武vs野村・ヤクルトの2年間』など多数。

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