ヤクルトの超優良助っ人・オスナはいかにして日本野球に順応していったのか (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 オスナは日本シリーズで初先発したルーキーの山下輝にも、プレーボール直前にマウンドに歩み寄り、「リラックス、リラックス」と、自らの分厚い胸板を叩いて励ました。

 青木宣親はオスナが来日してから、野球のことはもちろん、メンタル面でのケアもしてきた。

「オスナはすごく性格がよくて、僕らに対しても気を遣ったりするんですよ。みんなといる場所で『この音楽かけてもいいかな』と、まず聞いてきますから。好きにしていいよと言っても、『スパニッシュだけど大丈夫かな』と(笑)。僕がこれまで接してきた外国人選手はあまりそういう感じではなく、自分からバンバン好きな音楽をかけていた。オスナは一歩引くというか、そんな性格をしていますね」

【大松コーチが語るオスナ】

 打者としてのオスナは「日本の野球はピッチャーがいろいろな手段で打者のタイミングをずらそうとしてきます。そこにどう対応するか。文化の違いもありますが、基本的にはどの国でも野球は野球です」と、室内で早出練習をするなど努力を怠ることはなかった。

2021年/120試合/打率.258/13本塁打/60打点/出塁率.293/OPS.694
2022年/138試合/打率.272/20本塁打/74打点/出塁率.312/OPS.751

 オスナが2シーズンで残した数字には、研究や苦労のあとがにじみ出ていて、外国人選手に使う表現としては適切ではないかもしれないが、打者として成長のあとがうかがえた。

 オスナは自身の成長について、次のように語る。

「コーチ陣だけでなく、サンタナやムネ(村上宗隆)たちとも打撃について話をし、勉強になっています。いろんな方のアドバイスを受け止め、これは自分にとって有効だなとか、工夫すべきとか、そういったことを日々、積み重ねています」

 大松尚逸打撃コーチにオスナのここまでのバッティングについて話を聞いた。今シーズンから一軍の指導者となり、オスナとは「どうすればいい方向にいくのか」ということを、早出練習などで話し合っているという。オスナを初めて見たのは去年の4月だった。

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