ヤクルトコーチ嶋基宏が語る「弟子」への期待と自らの役割。現役時代に「すごい」と思った捕手の名も挙げた (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Sankei Visual

――ヤクルトの捕手としては、中村悠平選手の活躍が目立っています。それに続く捕手のひとりとして、高卒2年目で飛躍した内山壮真選手に期待がかかっていますが、どんな魅力がある選手ですか?

「この先、チームの"顔"になっていかなければいけない選手です。いろんなことを学んで、日本を代表するようなキャッチャーにもなってもらいたいですね。"打てるキャッチャー"というのも魅力ですし、頭もスマートで吸収する力がある。彼がキャッチャーに転向したのは高校2年からですし、今シーズンに一軍での試合を多く経験できた(74試合)ことは大きなプラスになったと思います」

――内山選手といえば今年の日本シリーズ第2戦、0-3のビハインドで迎えた9回裏の無死1、2塁で代打として登場し、同点ホームランを放った場面が強く記憶に残っています。

「ファンだけでなく、チームの誰もが『すごい』と思ったはずです。これまでの苦労や練習を見てきた身としては、それが実を結んだことが嬉しかったですね。結果に至る過程を大事にして、積み重ねた努力が生んだホームランでした」

――ただ、日本シリーズはオリックスの4勝2敗1分で日本一を逃しました。オリックスの強力な救援陣がそれを大きく後押ししましたが、対処法などはどう考えていますか?

「甘い球がくることはほぼないですから、狙った球を一発で仕留めるための策を考えることが必要になると思います。シーズンで何度も対戦していれば、ボールの軌道や攻め方も見えてくるものですが......交流戦の試合だけではなかなか対策を練るのが難しいですし、短期決戦ということもありますから」

――嶋さんは楽天とヤクルトでプレーしましたが、セ・パの野球の違いを感じることはありますか?

「私が楽天に入団した頃は『パ・リーグのほうが強い』と言われていて、実際にその傾向もあったと思います。ただ、近年はそれを感じなくなりました。DHの起用法など、セ・リーグのチームがしっかり対応できるようになってきた印象があります」

――2022年のオフは、森友哉選手(西武→オリックス)、嶺井博希選手(DeNA→ソフトバンク)、伏見寅威選手(オリックス→日本ハム)と、捕手のFAが大きく注目されました。その状況をどう見ていましたか?

「チームには、現状を考えた上で理想とする捕手像があります。今オフはFAの権利を得たキャッチャーたちと、チームの理想がマッチすることが重なったんでしょうね。とはいえ、監督が目指す野球なども含めて入団してからでないとわからないことが多いですから、キャッチャーは特に対応力が求められるポジションだと思っています」

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