嶋基宏が振り返る野村克也と星野仙一の教え。名将に学び楽天の日本一に貢献も、リード面で「自信を持てたことはない」 (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

【野村監督、星野監督の違い】

――野村監督といえば、古田敦也さんをヤクルトの正捕手として育てた際も厳しく指導されていました。嶋さんも"お叱り"を受けることがありましたか?

「数え切れませんね(笑)。テレビなどでの中継で見たことがある方もいると思いますが、試合中に私が立ったまま厳しく指導されることも多々ありました。『これが一番キツかったなぁ』と限定できないほどお叱りを受け、『いつか見返したい』という気持ちが芽生えることもありましたが、言われたことをノートに書き留めていき、それが大きな財産となりました」

2013年、日本一になり星野仙一監督と抱き合う嶋氏2013年、日本一になり星野仙一監督と抱き合う嶋氏この記事に関連する写真を見る――日本一を経験した時の、星野仙一監督の印象はいかがでしたか?

「イメージしていた通り人間味のあり、闘争心溢れる方でした。選手たちの気持ちを引き締めたり昂らせたりするための、声を掛けるタイミングが絶妙でしたね」

――野村監督と星野監督の"違い"は?

「野村監督は先ほど話したような『選手としてのあり方』もそうですが、やはりヤクルト時代から徹底されてきたID野球が印象的でした。データ重視の考えはチームに浸透しましたね。一方の星野監督もデータを活用されていましたが、相手に立ち向かう闘争心など"気持ち"の面に重きを置いていました。どちらも、選手として大切なことですね」

――チームが初の日本一になった2013年は、田中将大投手が24勝0敗という素晴らしい成績を残しました。リードする際にどんなことを意識していましたか?

「シーズンが進むにつれて『田中が投げたら勝って当たり前』となっていき、私もプレッシャーはありましたが、精神的には田中のほうがキツかったでしょうね。ただ、連勝しているからといって特別に何かをすることはありませんでした。いつも通りのミーティング、いつも通りの準備をして試合に臨む。田中と共にそれを繰り返したことが、結果的に24勝0敗という成績につながったんだと思います」

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