オリックスが3連勝で王手。勝負を分けた杉本裕太郎への1球と短期決戦のポイントを川崎憲次郎が解説 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 1点リードした直後、オリックスベンチは5回までに70球、被安打1の山﨑福也投手に代えて、2番手に宇田川投手を送りました。中継ぎ陣がしっかりしているので、型どおりの継投かなと感じましたね。中嶋聡監督の狙いどおり、6回からリリーフ陣が見事につないで逃げきりました。

 一方、ヤクルト打線は初回の先頭打者の塩見泰隆選手が放った1安打に封じられました。今シリーズ前半で当たっていた塩見選手、村上宗隆選手、ホセ・オスナ選手の勢いが、第4戦から落ちてきています。

 村上選手はかなりインコースを厳しく攻められるようになって、少し迷っているように感じます。オスナ選手は高めのストレート、低めに落ちる変化球と上下の攻めをされて、5戦目からボール球に手を出し始めました。今シリーズの序盤戦はどの球も打っていたので弱点が見えなかったけれど、オリックスバッテリーが4戦目以降はうまく攻められていますね。

 シリーズ序盤であれだけ当たっていたヤクルトのバッターたちですが、オリックスの強力リリーフ陣にかかるとなかなか打てなくなりました。インコースへの厳しい攻めも効いてきて、短期決戦のなかでヤクルト打線は調子が落ちてきているのかもしれません。それくらい緻密な駆け引きが繰り広げられています。

短期決戦のミスは致命傷になる

 先に2勝したヤクルトですが、3連敗で追い詰められました。とくに過去2試合は嫌な形で負けています。5戦目の吉田正尚選手のサヨナラホームラン、6戦目の杉本選手のライト前タイムリーと、甘く入った1球が決勝点につながりました。

 短期決戦で勝負を分けるのは、細かいプレーです。第6戦でオリックスはセンター・中川圭太選手のフェンス際でのナイスキャッチなど好プレーが出た一方、ヤクルトは最終回に抑えのマクガフ投手の暴投も絡んで追加点を奪われました。

 去年の日本シリーズから言えることですが、ミスは致命的になります。エラーもそうですし、記録ではエラーがつかないミスもある。フォアボールや、ピッチャーの投げミスも含めてです。

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