田澤純一、高木勇人...日本人選手がシーズン途中で次々と戦力外に。意外に厳しいメキシカンリーグの現実 (2ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text & photo Asa Satoshi

 しかし、このうち8月上旬に終わったレギュラーシーズンで、最後までプレーしていたのは乙坂ひとりだけだった。

 元メジャーリーガーから国内アカデミー出身の若手まで"玉石混淆"のこのリーグのレベルをアメリカのマイナーと単純比較することはできないが、一般的には「2A以上3A未満」と言われている。しばし「4A」とも例えられるNPBと比べれば、間違いなく"格下"のリーグである。実際、昨年のメキシカンリーグナンバーワン投手であった中村でさえ、NPB復帰後、バリバリの戦力として活躍しているとは言い難い。

 だからと言って、日本でリリースされた選手がすぐに通用するほど甘いリーグではない。

田澤純一は防御率14.92で戦力外に

 シーズン最終盤のドゥランゴ・へネラレスのスタジアム。ポストシーズン進出の芽が絶たれてしまったこのチームとビジターのレオン・ブラボズのベンチには、メキシカンリーグの"出がらし"しかいなかった。メキシコではシーズン半ばを過ぎると、ポストシーズンを狙う上位球団が下位球団の成績好調な選手を引き抜き、交換要員として用済みとなったベテランを放出する。

 消化試合のダブルヘッダー第1試合は、中盤に地元へネラレスが猛攻を見せ、逆転勝利を飾った。地元ファンは大喜びだったが、試合内容は"大味"としか言えないお粗末なものだった。2試合目開始まで時間があったのでフィールドに降りると、レオンベンチから英語で声がかかった。

「いま、タザワはどうしてる?」

 アトランタ・ブレーブスで3シーズンのメジャー経験があり、過去に日本球界入りも噂された34歳のベテラン、ジョーイ・テルドスラビッチだった。彼はドゥランゴのメンバーに田澤純一の名がなかったことに驚いているようだった。テルドスラビッチはメジャー時代に対戦したことがあると言う。

「あの時のタザワは速かったよ。常に95マイル(約152キロ)は出ていたからね。でも、こっちでは90マイル(約144キロ)がやっとだったけどね」

 アマ球界からいきなりボストン・レッドソックスと契約し、セットアッパーとして一世を風靡した姿はメキシコにはなかった。

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