川崎憲次郎が「藤川球児くらいのボールを投げられる」と評した投手など前半戦のセ・リーグで注目した8人

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 1988年ドラフト1位でヤクルトに入団し、野村克也監督時代の黄金期を牽引した川崎憲次郎氏。現在は野球解説者として、ピッチャー目線からの鋭い観察力で選手の新たな魅力を引き出してくれる。今シーズンの前半戦を振り返り、印象に残っている選手を選んでもらった。まずはセ・リーグから。

湯浅京己は2018年ドラフト6位で阪神に入団湯浅京己は2018年ドラフト6位で阪神に入団この記事に関連する写真を見る 今季前半戦のセ・リーグでMVP級の活躍を見せているのが、ヤクルトの4番・村上宗隆だ。32本塁打、88打点は2位以下を大きく引き離してトップ(成績は7月20日時点、以下同)。さらに打率.319はリーグ2位と、セ・リーグでは1986年のランディ・バース以来の三冠王も狙える位置につけている。

 高卒4年目の昨季本塁打王を獲得した村上について、元ヤクルトで1998年に沢村賞投手に輝いた川崎憲次郎氏は、これまでにも増したすごみを感じると言う。

「去年も打っていましたけど、今年は先制打やサヨナラ打など、みんなが打ってほしいと期待している時に打ってくれる。そこが去年より進化しているところです。年齢的にはまだ若手だけど、"日本のスラッガー"という立ち位置にきていますね」

 ファンの間でついたあだ名は"村神様"。22歳とは思えないほど風格を備えている。

 実際、村上が打席で醸し出す雰囲気に投手たちは引き込まれ、甘い球につながりやすいと川崎氏は指摘する。

「これだけ打っていても、穴は絶対どこかにあるはずです。でも、去年よりさらに振れるようになっているので、ピッチャーからすると怖さを感じる。

 特にピンチでピッチャーたちは村上に飲まれて、恐る恐る投げているようにも見えます。ピッチャー心理とすれば、そう感じると、逆に打たれる確率も上がっていきます」

 村上が打線の中心に座り、ヤクルトは5月に首位浮上してから独走中だ。7月2日には、1950年に2リーグ制となってから最速のマジック53が点灯した。

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