阪神・江越大賀「12球団で一番もったいない選手」返上へ。ラオウ杉本との自主トレで8年目の覚醒となるか

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

── 「12球団で一番もったいない選手」と呼ばれていることは、ご存知ですか?

 そう問いかけると、江越大賀の目尻がみるみると細くなっていった。白いマスクで覆われた鼻から下にも、苦笑が広がっていることがうかがえた。

「知ってはいるんですけど、でも別に僕が12球団で一番ではないかな......と思っていました」

今年でプロ8年目となる阪神・江越大賀今年でプロ8年目となる阪神・江越大賀この記事に関連する写真を見る 2019年秋季キャンプで阪神の臨時コーチを務めた山本昌(元中日)が「12球団で一番もったいない選手」と評したこともあり、江越の「もったいなさ」は球界に広く知れ渡っている。

 スポルティーバでも「12球団の『もったいない選手』たち。能力は超一流も定位置奪取できない」(2020年7月6日配信)「プロ野球もったいない選手たち2021。才能開花でレギュラー奪取なるか」(2021年1月18日配信)といった記事で、江越の才能が開花しないもどかしさを伝えてきた。

過去5年間の安打数はわずか8本

 江越は2014年ドラフト3位で阪神に入団した外野手だ。ずば抜けた身体能力の持ち主で、練習中のパフォーマンスを見れば誰もがそのスケール感に魅了される。往年のアスリート型外野手・秋山幸二(元西武ほか)の姿すら重なる大器なのだ。

 2016年から2018年まで阪神の監督を務めた金本知憲は江越のポテンシャルを高く評価し、2年目には72試合に起用。江越もそれに応え、4試合連続本塁打を含む7本塁打と、才能の一端を見せている。2019年から監督を務める矢野燿大も「課題は打撃だけ」と再三にわたってコメントするなど、江越への期待は高い。

 だが、プロ3年目以降の江越は、出口の見えないトンネルをさまよい続けた。過去5年間の通算成績は81打数8安打、打率.099、1本塁打2打点。そして喫した三振数は43と凡打の半数以上を占めた。過去2年間は一軍でのヒットすらなく、昨季はわずか3打席しか立てなかった。

 江越はこのまま「もったいない」まま終わってしまうのか。そんなファンの深いため息が聞こえてきそうな状況から一転、ここにきて江越に噴火の兆しが見えている。

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