ベイスターズ、最下位からの反撃へ。最先端テクノロジーを強化・育成にフル活用 (4ページ目)
【最重要はドラフトと育成】
同時に投資において重要なのは、市場価値とリターンを見極めることだ。一般論として、DeNAはこれらの点をどう考えているのか。
「英語で言うと、価値の意味は『evaluation』と『valuation』のふたつあります。この選手はこれくらいの成績を出してくれるから、これくらいの評価になるというのが『evaluation』。FA市場に出た選手は市場価値(=valuation)が出るので、両方の観点で評価する必要があります。マネーゲームをする・しないという話ではなく、我々の適正な『evaluation』と『valuation』に基づいて都度、球団としての判断をしています」
チームが補強する手段は、FA、ドラフト、トレード、外国人選手の4つが大きくあり、そこに育成が結びついて強化は行なわれていく。それらの基本的なバランスについて、球団の考え方を壁谷部長はこう説明する。
「持続的に強いチームを作るには、日本のプロ野球ではスカウティングと育成が根幹だと思います。そこに外国人やFAで補っていくのがウチのスタイルです。バランスという意味で言うと、ドラフト、そして育成が非常に重要であるのは間違いないです」
2021年秋、DeNAは高校生投手の小園健太(市立和歌山)をドラフト1位で指名した。2年前に内野手の森敬斗(桐蔭学園)を1位指名したのに続く高校生の獲得だった。2010年代は上位で大学生や社会人という即戦力の指名が続いたが、近年は明らかに変化が見られる。
「選手層がある程度できてきたので、将来への投資ができるフェーズに入りました。育成をしっかりできる土台はできてきているので、彼らを育てあげなければと考えています」
木村社長は前述した年頭挨拶で、「5年後に黄金時代を」とも掲げた。R&Dというチームの心臓部を担う壁谷部長には、未来がどう映っているのか。
「過去5年くらいメジャーをベンチマークしてきて、ダイヤモンドバックスと提携して取り組みを学んできました。メジャーが世界最先端とすると、そこに追いつくために体制を整えてきました。R&Dの取り組みは選手にも活用されていますし、その方向に進んでいると思います」
4 / 5