正念場を迎えるドラフト1位入団の甲子園のスターたち。今季、輝きはよみがえるか

  • 菊地高広●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 プロ野球の世界は「結果がすべて」と言われる。前評判が高く高額な契約金を得て入団した"金の卵"であっても、弱肉強食の生存競争に敗れ去るケースも珍しくない。

 だが、たとえくすぶっていようと、ドラフト1位として入団した選手にはプロの目利きが認めたポテンシャルがある。そんな、いずれ大爆発する可能性を秘めた「元ドラ1」を紹介していこう。

【同期入団選手と明暗くっきり】

 育成選手が続々と大成するソフトバンクだが、一方でドラフト1位指名選手が停滞ぎみという皮肉な状況が続いている。球団の育成力の高さ、競争の厳しさの裏返しでもあるだろう。

 なかでも開花が待ち遠しいのは2014年1位の松本裕樹(盛岡大付)、2015年1位の髙橋純平(県岐阜商)の2投手だ。

 松本は7年目の昨季に自己最多の33登板、3勝3敗4ホールド。73回2/3を投げるなどブレイークの足がかりを得た。入団時には右ヒジに故障を抱えていたが、将来性を評価したソフトバンクが1位指名している。

 昨季はリリーフ時の成績がよかったとはいえ、カーブを含む多彩な球種を扱えるため先発としての適性も高い。同期入団でドラフト時の目玉だった安樂智大(楽天)が、昨季はセットアッパーに定着するなど遅まきながらブレイクを果たした。松本も開花の兆しが見えるだけに、その流れに続きたい。

 髙橋は中日、日本ハム、ソフトバンクの3球団から重複1位指名を受けた、同年ドラフトの超目玉だった。プロ4年目の2019年には中継ぎで45試合に登板。防御率2.65、17ホールドを挙げて豊かな才能の一端を見せた。だが、同年以降は一進一退を繰り返し、思うような成績を残せていない。

 昨季は開幕から10試合で自責点ゼロと好調ながら、5月上旬に右手骨折で離脱。以降は状態を崩して、ファームでも防御率5.87と振るわず一軍再昇格はならなかった。好調時には150キロ台半ばに達する快速球があり、まだ潜在能力の底を見せていない。自分なりの投球感覚をつかみ、好不調の波を小さくしたいところだ。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る