猛バッシングからの大歓声も。新井貴浩など現役晩年に古巣に戻って輝いた男たち (4ページ目)

  • 紙井昇●文 text by Kamii Noboru
  • photo by Kyodo News

 2008年のシーズン途中に、石井裕也との交換トレードで中日に移籍した。移籍4年目の2011年は、交流戦でサヨナラ本塁打を放つなど、勝負強さを発揮しリーグ優勝に貢献。日本シリーズ第1戦でも一発を放った。

 同年オフにFA権を行使し、4年ぶりに古巣復帰。DeNAでは思うような成績を残せなかったが、2013年10月に行なわれた引退試合で2本塁打を放ち、有終の美を飾った。

広島に復帰後、チームのリーグ3連覇に貢献した新井貴浩広島に復帰後、チームのリーグ3連覇に貢献した新井貴浩この記事に関連する写真を見る【猛バッシングからの大歓声】

 最後に、古巣でドラマチックな最後を迎えた選手として、新井貴浩を紹介したい。

 広島工高から駒澤大を経て、1998年ドラフト6位で地元の広島に入団。大学では目立った成績を残せていなかった選手で、今でいう"サプライズ指名"に近いプロ入りだったが、努力を厭わない本人の性格と猛練習で育て上げる広島の環境が噛み合い、4番へと成長。2005年には43本塁打で本塁打王を獲得した。

 常々広島への感謝と愛着を口にしていた新井だが、2007年オフにFA権を行使し、阪神への移籍を決断した。移籍発表の記者会見では、涙ながらに「カープが好きだから、辛かったです」などと心情を吐露した。

 だが、逆にこれがファンの反感を買ってしまい、移籍後初の広島との対戦では、広島市民球場に詰めかけた広島ファンから強烈なブーイングを受けた。

 優勝を意識して阪神に移籍した新井だが、在籍7年間で優勝することはできなかった。そして、2014年オフに規定を上回る大幅減俸の提示、代打での起用が中心となることを伝えられ、阪神退団を決意。当時、右の強打者不在をウィークポイントにしていた広島が獲得に乗り出し、8年ぶりの古巣復帰となった。

 新井は、復帰にあたり広島ファンに受け入れられるかが非常に不安だったと引退後に発刊された自著で語っている。だが、2015年の開幕戦で迎えた初打席で、新井を待っていたのは、広島ファンの割れんばかりの大歓声だった。これを受け、新井は「今度は自分がファンを喜ばせたい。絶対に喜ばせる」と決意を新たにしたという。

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