優勝したオリックス不動の1番・福田周平。二軍降格時「中嶋監督からあの言葉がなかったら、今の僕はなかった」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

 そんな福田が、憧れの1番バッターにケニー・ロフトンの名前を挙げたときは驚いた。ロフトンといえば1995年、ナ・リーグの野茂英雄(ドジャース)が先発したオールスターゲームでア・リーグのトップバッターを打ったインディアンズのリードオフマンだ。メジャー通算で2428本のヒットを放ち、2007年で引退したメジャーリーガーを、1992年生まれの福田はどこで見ていたのだろう。

「リアルタイムでは見ていないんですけど、YouTubeで見たら足も速いし、ヒットメーカーで3割を何度も打っていて......驚いたのはボールの見逃し方がすごかったことです。メジャーリーガーのとんでもなく速い球を平然と見送る姿を見て、これはマネしたいと思いました。あと、ロフトンのスイングはすごくコンパクトで、僕も今よりもっとスイングを小さくしたいと思っているんです。ショート・コンパクト・スイング(笑)。そこを目指して、コンパクトに、コンパクトにという意識でバットを短く持っています」

 さらに福田は、1番に定着しただけでなくセンターにも定着した。今までショート、セカンドを守ってきた福田だが、6月からはほぼセンターに定着。センターを守るのは野球人生で初めてだったと聞き、それにも驚かされた。

「『センターをやらせてくれ』とシーズンが始まる前に直訴しました。チームからは僕を内野では使ってくれそうにない雰囲気が出ていましたからね。直訴した理由はそれだけです。僕は試合に出られたらそれでよかったんで、ああ、今年はセカンドは無理だな、だったら外野もやればどこでも守れる選手になるし、幅が広がるなって思いました」

 とはいえ、とても初めて守ったとは思えない好守備を連発するから、福田の運動能力は底知れない。野球センスもあるのだろう。福田はセンターを守る心得については、こう話した。

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