オーラ復活。長野久義の
第2のプロ野球人生に恩師が太鼓判

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 長野の代名詞であったハツラツとしたプレーが鳴りを潜めていくなか、今回の環境の変化が「復活を後押しするのではないか」と語るのが石井である。石井は1971年から3年間、外野手として広島でプレーした経歴を持つ。

「実際のところ、残留していても出場機会は減っていたはず。ただ、先発で使い続ければ2割8分、本塁打1820本ぐらいはまだ計算できる選手です。もちろん住み慣れた東京から広島という"地方"に来たことで一抹の寂しさはあるかもしれませんが、小さい街だからこその一体感が広島にはある。その喜びを味わいながらプレーできるはずです。

 今ではカープの注目度も、完全に全国区。すでにリーグ3連覇しているし、巨人からビッグネームが来たといっても以前のようにコンプレックスを持つ選手はいないでしょう。むしろ外からの選手を歓迎することで、競争激化を期待するのが代々カープの強みでもありますから。監督の緒方孝市は同郷(佐賀県)ですし、天然芝の球場(マツダスタジアム)はひざの悪い長野にとっては負担軽減にもなる。いいことすぐめではないでしょうか」

 また江口は、長野の「節目での強さ」を強調する。

「集中力がある選手なので、どのカテゴリーでも1、2年目にしっかりと結果を残してきました」

 日大進学後は1年から4番を打ち、主将となった4年秋には首位打者とベストナインを獲得している。前年のドラフトでロッテからの2位指名を断り、Hondaに残留した2009年には、都市対抗で打率.579で首位打者賞を獲得する活躍で、チームを13年ぶりの優勝に導いた。

 2度の指名拒否ののちに入団した巨人でも、大きなプレッシャーのなか、1年目に新人王を獲得。野球人生の岐路に立たされた時ほど、長野は輝きを増してきた。江口が続ける。

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