ホームラン歴代3位・門田博光の「清宮幸太郎分析」がおもしろすぎる (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 そんな清宮について、門田ならではの視点で、あらためてホームランアーチストとしての魅力を口にした。

「彼はね、柔らかい背中を持っとるでしょ。あれがあるから強いスイングができるし、距離も出せる。ワシの好きなタイプなんや」

 門田は打者を語るとき、背中を話題にする。

「ええバッターは背中が柔らかくて強い。特にオレらみたいな体が大きくない選手が強いスイングをして打球を飛ばそうと思ったら"これ(強くて柔らかい背中)"がいるんや。清宮は身長が180センチを超えとるらしいけど、左中間に打ったときなんか背中がしなって、ほんまええ形しとる」

 門田自身、強い筋肉を持っていたわけでも、体格に恵まれていたわけでもない。それでも現役時代の後半には1キロのバットを扱い、強烈なスイングで40歳にして二冠王にも輝いた。

 その源であったと考える柔らかくて強い背中を清宮に重ね、大いなる可能性を感じているのだ。

 一方で、門田が渋い顔をつくり「ここだけがクエスチョンや」と指摘する点もある。

「なんでこんなにええ体をしているのに、"今風"の形でやるんや。ここが理解できんのや」

 門田が言う"今風"とは、オープンスタンスのことだ。門田が現役の打者を語るとき、かなりの頻度でぼやくのが、このオープンスタンスである。清宮に対しても同様だった。

「0コンマ何秒の勝負をしているのに、なんでわざわざオープンに構えてから戻して打ちにいくんや。それだけ無駄な動きが入ったら遅れるやろ。それに足を上げて、グッと力がたまる一瞬も浅くなる。昔は、1本足が難しい打ち方やったけど、オレにしたらそれよりも難しいのがこれや。それがなんで主流になるのか、理解できんのや」

 清宮も二軍降格となった際、「まだ真っすぐに振り負けるのを感じた」と課題を挙げていた。

 門田の現役時代、オープンスタンスで構える打者は稀(まれ)だった。時代とともに球種が増え、打者がボールを見やすくするためにオープンスタンスが主流になっていったというのが一般的な見方だ。しかし、門田は首をかしげる。

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