「とにかく焦るな」。リハビリに苦闘した斉藤和巳が松坂大輔に贈る言葉 (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 時事通信フォト●写真 photo by Jiji Press Photo

 だけど、ちょっと待ってほしい。右肩の手術をしたのが去年の8月で、まだ1年も経っていないんです。現時点でマウンドに立つことができるわけですから、それほど大きな手術ではなかったんだと思います。それでも、肩にメスを入れたということに変わりはない。

 細胞を1度切ったんだし、毛細血管だって再生されるまで時間がかかる。大輔も我慢しても投げられない痛みだったから手術に踏み切ったわけですよ。相当な覚悟と勇気が必要だったはずです。右肩手術や怪我の苦しみなどは、経験した者にしか分かりません。もちろん多くの人が体験するはずもないことです。

 だけど、それを理解はできなくとも、何も考えずに非難だけをするのは、ボクはお門違いやと思うんです。現時点でマウンドに立って投げられているんだし、去年よりも確実にイイ。順調に来ていると思いますよ。
 
 過去の松坂大輔の姿を求めてしまうファンの気持ち、よく分かります。でも、過去の松坂大輔ではないことは、本人が一番分かっていると思いますよ。ボクもそうだったけど、そこ(全盛期)を求めてももうそこに行けへんのは本人が一番分かっている。

 はじめは葛藤もある。だけど、大輔もメジャーでも肘の手術をして、勝っていた頃から何年も経ち、そしてまた手術をした。周りが思っているほど、過去の栄光には縋(すが)っていないと思いますけどね。

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