ジャパニーズドリームを求めて。四国ILで戦う南半球の外国人選手たち

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 昨シーズンのBCリーグでの成績は2勝4敗、防御率3.86。正直、NPBに助っ人として入るには苦しいレベルだ。しかし、チームメイトのミッチ・デニングがシーズン途中にヤクルトに加入し、一軍でもホームランを打ったことで、NPBの背中が見えてきたと自身は感じている。自分のなかで目標がはっきり見えてきたせいもあってなのか、心機一転、再移籍した母国リーグのアデレード・バイトでは、8勝1敗、防御率3.66という堂々たる成績で最多勝を獲得し、チームをファイナルシリーズにまで導いた。

「相手は古巣のブリスベンだったんだけど、ユニフォームを着ているからには、そんなことは気にはならなかったよ」

 残念ながらシリーズでは、故郷に錦を飾ることはできず古巣の前に屈したが、チャンスをなかなかもらえなかった古巣相手に先発のマウンドに立ったことで自身の成長を地元ファンに見せることはできた。

 豪州でも日本でも移籍したのは、環境を変えたかったからだと彼は言う。年齢を考えると自分に残された時間がそう多くはないことを自身でもわかっているのだろう。

 アメリカ同様パワー重視の母国のスタイルと、スピードと正確性を備えた日本野球の両方を吸収したチェンバースの素質が、いま開花しようとしている。

「確かに日本の練習時間は長いね。でも、慣れてくると、オージーたちももっと練習すれば……と思うようにもなったよ。ただ、野球そのものが違うからね。仕方ないかもしれない」

 そう語るチェンバースだが、恵まれた体躯を日本野球にアジャストすることにより、“ジャパニーズドリーム”を叶えようとしている。

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