「指力」強化で巨人・菅野智之が手にした「ものすごいスピン」 (3ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ワンシームは直球とほぼ同じ球速でシュート気味に落ちていく球で、ゴロを打たせたい時に有効だ。特に、菅野は制球がいいと思われているだけに、相手打線は狙いを絞って早打ちをしてくる。1球で凡打を誘うケースも増えてくるだろう。菅野は言う。

「ワンシームを軸として投げていく。完投数を増やす、200イニングという目標があるので、球数を少なくするという意味でも大きい」

 ちなみに、メジャーリーグで通算122本塁打の実績を持つギャレット・ジョーンズは、目慣らしのためにブルペンで打席に入り、菅野の投球を“体感”した。2015年に19勝を挙げたザック・グリンキー(現・ダイヤモンドバックス)にタイプは似ていると言い、「コントロールがいいし、球が動く。今、(メジャーに)行っても活躍する」と太鼓判を押した。

 投球スタイルの見直しは、もちろん今季の好成績に結びつけるためだが、菅野はその先の長い野球人生も見据えている。年齢を重ね、ベテランの域に達したときに、球威を上げようと思っても、体力面から無理な話だ。30歳を超え、球威が少しずつ落ちていき、変化球も伸びしろがなければ、安定した成績を残すことは難しくなる。でも今なら、新しい球種を覚えるなど、変化球を磨こうと思えばできるだろう。

「(将来のためにモデルチェンジする)引き出しを残しておきたい。今、できることを最大限にやる。常にそう思ってやっています」

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