「指力」強化で巨人・菅野智之が手にした「ものすごいスピン」

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「相手を圧倒するピッチングがしたい」

 巨人菅野智之が掲げる目標だ。シンプルだが、投手なら誰もが目指す、本質を突いている言葉だと思う。

 圧倒するために必要なことは、原点とも言えるストレートの質を上げること。これまでの投球を振り返ると、速球が走っている試合は相手を抑えられている。速球の調子が悪ければ、いくら多彩な変化球を持つ菅野でも苦しむ。ストレートの平均値を上げれば、本調子ではなくても、相手を抑えられる可能性がぐっと高まる。

昨年は防御率1点台ながら負け越してしまった菅野智之。今季に懸ける思いは強い昨年は防御率1点台ながら負け越してしまった菅野智之。今季に懸ける思いは強い

 日本代表の一員として出場した昨年11月の「プレミア12」では、各チームのエース級が集まり、それぞれが球威のある球を投げていた。触発されるように、菅野も155キロを叩き出した。「いい感覚があった」と手応えをつかみ、オフの間にさらに磨き上げようとした。

 菅野は昨年12月中旬からハワイに渡り、早々と自主トレーニングをスタートさせた。徹底した走り込みとウエイトトレーニングで体を大きくし、投球フォームを固めるための遠投をくり返す。それらと並行して行なったのが指力の強化だった。重いボールを指先だけで回して鍛え、球をはじく力を増そうとしたのだ。

「投げている感覚では、指の掛かりは直球のスピンにつながっていくんじゃないかと思う。自分なりに考えて出した答え。それを重点的にやった」

 約1カ月のトレーニングを終え「コンディションは(プロ入り後)3年間で一番いい」と明るい表情を見せた。

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