西武・高橋光成が「群馬の野生力」を取り戻し急成長中

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sportiva

高卒ドラフト1位たちは今~西武・高橋光成

 2年前とは「爆発力」がまるで違っていた。

 ライオンズのユニフォームをまとった高橋光成(たかはし・こうな)がセットポジションに入る。浮かせた左足を着地させて右腕を振り下ろした瞬間、マウンドで「バンッ!」と小爆発でも起こったかのように、高橋の体が宙に浮き上がる。躍動感たっぷりのこの逸材に、2年前の甲子園マウンドでの姿は重ならなかった。

今年3月のイースタンリーグ公式戦で154キロをマークした高橋光成今年3月のイースタンリーグ公式戦で154キロをマークした高橋光成

 前橋育英高時代の高橋に、「剛腕」というイメージを持っていた野球ファンはどれくらいいるのだろう。もちろん、2013年夏の甲子園で優勝した時から、140キロを超えるスピードはあった。しかし、ややシュート回転するストレートよりも、空振りを奪えるフォークのほうが強く印象に残っている人が多いのではないだろうか。

 有原航平(早稲田大)に4球団、安樂智大(済美高)に2球団の指名が重複した2014年ドラフト。近年、十亀剣(2011年)、森友哉(2013年)と、単独指名に成功していた西武が敢然と1位指名したのが高橋だった。しかもドラフトの1週間前に編成陣が「彼しかいない」と指名の公言までしているところに、何か確信めいたものを感じる。

 あれから半年以上が経ち、高橋が恐るべきスピードで進化を遂げていることをご存知だろうか。

 球速は常に140キロ台後半を計測し、最高球速は154キロにまで達した。高橋にいったい何があったのだろうか。

「これをやったから速くなったということはないですね」

 スピードアップの要因について、本人はこともなげに答えた。投球フォームを変えたのかと聞いても、「意識は全然してないです」という。

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