チーム解体で見えた原監督が描く「常勝の未来図」 (2ページ目)

  • 高松正人●文 text by Takamatsu Masato
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

  投手陣ではエース・内海が昨年不調で前半戦は1勝6敗。後半、巻き返したが7勝に終わった。杉内も唯一、ローテーションを守ったが10勝6敗。早いイニングで降板することも多く、年俸5億円(推定)に見合った活躍とは言えず、原監督から苦言を呈されることもあった。そのため3年目でエースの風格が漂う菅野智之投手を中心に、若い力の台頭に期待している。

 またリリーフに回る澤村については、以前、原監督が「直球の威力、秘めている力は田中将大以上」と評価したこともあった。ただ長いイニングを投げると、特に終盤につかまることが多く、そのポテンシャルを1イニングで試すプランをずっと持っていた。一昨年のシーズン終盤から、日本シリーズまで中継ぎで起用し、リリーバーとしての適応能力は見せた。昨季はマシソンが務めたクローザーだが、日本人投手の起用を望んでいたとあり、澤村に白羽の矢が立てられた。

 今回の原監督が言うチーム解体には、菅野、澤村、坂本、小林といった若い世代にチームを引っ張っていってほしいという強いメッセージが込められている。これからも強い巨人軍であるための「変革の1年」と原監督はとらえている。

阿部、村田、内海、杉内が、この世代交代の流れをどのように受け止めているのか。内海は「成績で引っ張っていく」と言い、杉内は「原監督が納得するような投球を見せるしかない」と危機感を募らせている。阿部もグアムで自己最高の成績を目指すことを明かし、村田も沖縄で打棒復活とばかりに、自主トレで打ち込みを行なっている。「世代交代はまだ早い」と言わんばかりに、例年以上の気合いを見せている。ベテランをやる気にしてしまうあたりも、原監督の巧さである。

 また、今年からベンチに選手兼打撃コーチとして高橋由伸が入る。高橋由伸は原監督の後継者になるとも言われている。過去10年でリーグ優勝6回、日本一3回、WBC優勝監督にもなった原監督は、巨人軍に脈々と受け継がれた帝王学を高橋に伝授していくことになる。投手、野手、首脳陣と2015年に原監督が目指すものは、世代交代を見据えつつ、圧倒的な強さで頂点に立つ野球なのだ。

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