ライバルたちが語る「大谷翔平の160キロ」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 同じくヤクルトの山田哲人も交流戦で初対戦し、4打数3安打と大谷を打ち崩した。

「試合前の情報として、とりあえず真っすぐが速いと聞いていました。状況によっては、アウトコースや低めは捨てようというバッティングプランでした。印象としては、僕の時はけっこう抑え気味で投げていた気がします。僕が走者としてセカンドにいる時、バッターはバレンティンだったのですが、投げっぷりが全然違いましたから(笑)。打者として悔しくないかと聞かれれば『悔しい』ですけど、抑え気味で投げてくれたおかげで打てたのはラッキーでした」

 山田は大谷のストレートについて、次のように語った。

「ただ、大谷投手はスピードガン表示より出ていない気がしますね。僕に球速の感覚がないからかもしれませんが、140キロぐらいかなと思っていたら、150キロだったり(笑)。とはいっても、実際に打つと詰まってバットを折られたんですよね」

 そして直近の登板は、6月25日のDeNA戦。試合前、中畑清監督の囲み会見で、真っ先に名前が挙がったのが大谷だった。

「オープン戦で1回対戦しているのかな。マウンド度胸があるし、あのスピードでストライクゾーンに投げられる。ただボールが速いだけの暴れ馬じゃないもんね。名馬になりつつある気がするね。彼から点を取るには、ラッキーパンチが出るか、出ないか(笑)。後藤(武敏)に期待しておこうかな(笑)」

 そして試合後、中畑監督はこう語った。

「(7回を2失点に抑え込まれ)攻略の糸口がつかめなかった。投手として別格なものを感じました」

 中畑監督からキーマンに指名された後藤は試合前、大谷の印象についてこう話してくれた。

「オープン戦では2打数1安打でしたかね。やっぱり、ボールに威力があったし、変化球もキレがありました。160キロはテレビの映像で見ましたが、狙っても打てない真っすぐかなという印象を受けました。真っすぐで押していけるピッチャーですよね。もちろん、対戦するのが楽しみな投手ですよね。今まで対戦した中では、松坂大輔(現メッツ)の真っすぐがベストでした。真っすぐを張っていても、打てない、かすらない、当たらないでした。大谷くんには力と力の勝負では不利だと思うので、まずは1打席目に振ってみて、その感覚から対策を考えるつもりです」

 この日の対戦は、1打席目は初球、154キロのストレートを打ってショートゴロ。2打席目は153キロのストレートをセンター前ヒット。

「初球から真っすぐ系のボールが来たら、全部振っていくつもりでした。(2打席目は)結果的にたまたま当たったというか......完全に詰まらされました」

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